話のスケールが大きくなるに従い、展開がなし崩しにショボくなる。実に惜しい。
「マーシャル・ロー」
(1998年/エドワード・ズウィック監督)
9.11を予見した(と言うよりお手本になっちゃった)という付録はとりあえず放置。
ブルックリンで起きたバスジャック&自爆テロが戒厳令にまて発展していく様をFBI(デンゼル・ワシントン)、CIA(アネット・ベニング)、陸軍(ブルース・ウィリス)の思惑を絡めて描くポリティカル・フィクション・・なのですが。
戦いの図式が、アラブ系テロリストグループ(複数)×FBI(熱血漢)×CIA(謎の女)×陸軍(ファッショ)という“メチャぶつけ”相関なので、話が一本にまとまりません。
この“まとまらなさ”をリアリズムと捉える事もできますが、映画としては「う~ん」。
最初のバス自爆テロはなかなかの見せ場。ここで資金使い果たしたのか、続くブロードウェイ、連邦政府ビルの自爆テロは音のみで、映像は爆発後の瓦礫だけ。
それでもここまではそれなりの盛り上がり。CIAのお姉ちゃんが激しくミス・キャスト(と言うか存在そのものが邪魔)ではありますが。
演技も役作りも彼岸の彼方なブルース・ウィリスが戒厳令を敷く(本来ならクライマックス突入)あたりからなし崩しに緊張感欠如。
結局、デンゼルとブルースが至近距離から唾飛ばしあってジ・エンド。
おいおい、それでテロも一件落着なのかい? ブルースも「I am The Law」とまで言い切ったんなら、FBI皆殺しにするぐらいの気概を見せろよ(最悪の終わり方ですが)。
全然関係ないですが、ブルックリン橋を上下線共に規制しての撮影に「嗚呼、サンゲリアではできなかった事を…。資金があるってええなぁ」と妙な感慨に浸ってしまいました。
※参考:「東宝東和魂炸裂! サンゲリア」→2008年6月21日