デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

葉隠れ×甲賀寺×日本兵。 アメリカン忍者

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『九字切は成すべき術力を集中させる。陣・列・在・前』


待て待て、4つしかないぞ。臨・兵・闘・者・皆はどこ行った?

アメリカン忍者」

(1985年/サム・ファーステンバーグ監督)


ふざけた邦題だ、と思ったら原題も「AMERICAN NINJA」。まんまかい。

東南アジア某国。米軍駐屯地。ジョー(マイケル・ダディコフ)は幼年期の記憶を無くした青年兵士。

ある日、軍の輸送車がゲリラ&ニンジャ軍団に襲撃されますが、ジョーはニンジャに拮抗する身体能力でこれを撃退。

実はこの襲撃は出来試合で、軍の上層部が物資をゲリラ相手の武器バイヤーに横流ししていたのでした。

そして、ジョーは幼年期にジャングルで終戦を知らずにさまよっていた日本兵に忍術と葉隠れの精神(そりゃ武士道だろ)を教え込まれた“アメリカン忍者”でした。

間違いなくトンデモ映画なのですが、バランスが絶妙。

ジョーと大佐の娘のラブロマンス、ジョーと軍友の友情(殴り合いの末「お前なかなかやるな」「お前もな」な気恥ずかしい奴)、ジョーに忍術を教えた日本兵との師弟愛、ダークサイドに落ちた黒忍者との壮絶バトル、そして、ジョーをアシストする軍友のコマンドーな暴れぶり。

各人にバランス良く見せ場が用意され、しかもこれらが破綻無く99分に収められているというのは奇跡的平衡感覚と言えるでしょう。

クリスチャン・スレイターになり損ねた風貌のマイケル・ダディコフの殺陣もギリギリ許容範囲。

ニンジャものの入門書としては最適ではないかと。