デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ついに出た。一人一殺百年史。 日本暗殺秘録

イメージ 1

 

『俺はやっと分かった。革命は俺たちでやるんじゃないんだな。俺がやるんだ。この俺が』

本当に発売されるのか? 実際手にするまで半信半疑でしたが、無事届きました。

安保闘争真っ只中に公開された問題作、奇跡の初ソフト化。偉いぞ、東映ビデオ。

「日本暗殺秘録」(1969年/中島貞夫監督)

桜田門外の変から226事件まで、9つの暗殺エピソードを繋いだ日本暗殺100年史。大物俳優を湯水の如く使ったオールスター超大作です。

中でも力点が置かれているのが、井上日召率いる血盟団の一員として前大蔵大臣・井上準之助を射殺した小沼正(千葉真一)。

真面目に働く者が決して報われない社会に絶望し、捨石的革命運動家からテロリストになっていく様が丁寧に描かれています。

拳銃の精度と腕前から最も確実な暗殺方法、“背後からのゼロ距離射撃”を選択するあたり、“逆ジャッカルの日”でいい感じ。

いささか情に流れすぎている演出が気になりますが、潤んだ瞳の青年千葉ちゃんの暑苦しいがまでの大熱演を堪能しましょう。

因みに公開当時、小沼正はまだ存命(1934年に無期懲役、1940年の恩赦で仮出所)。

DVDに収録されている映像特典の「特報」では、撮影現場を訪れた小沼と千葉ちゃんの2ショットスチールを拝むことができます。

作中、繰り返し突きつけられる疑問。「それでも暗殺はなくならない。何故か?」

恐らく答えは“そこに権力があるからさ”なのではないかと思います。