復讐ものに必須の要件、それは“復讐の原因となる事件”の存在。
この事件が酷ければ酷いほど、後半の復讐が盛り上がるわけですが、これを観るのが結構辛い。
できればちゃっちゃと済ませるか、「クロウ」のようにフラッシュ・バックで少しずつにして貰えると精神負担が軽くて済むのですが、これをじっくりねっちり(全体の7割くらいの)時間をかけて撮った馬鹿者がいます。
馬鹿者はウェス・クレイヴン。作品は彼のデビュー作「鮮血の美学」。
元ネタはベルイマンの「処女の泉」ですが、本論である“宗教的救い”の部分をかっ飛ばして、復讐で終わっちゃっているので、巨匠に対して不誠実の極み。
この罰当たりな作品をほぼ忠実になぞったのが、
「ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト-鮮血の美学-」(2009年/デニス・イリアディス監督)
一人娘をレイプされた上に大怪我を負わされた両親の凄絶な復讐劇。
今回の“酷い目に会うシーン”は全体の半分くらいですが、上映時間が長くなっている(オリジナル85分、リメイク114分)ので、実質1時間という尺は変わりません。
まあ、それでもオリジナルのスナッフ・フィルムのような嫌ぁな質感が、綺麗な画像になっているだけで、「ああ、映画なんだな」と安心できます。
娘もオリジナルでは惨殺されちゃいますが、今回は被弾しながらも生き延びますし。
で、見せ場は後半の復讐劇。
オリジナルでは、「悪魔のいけにえ」より2年も早い“チェンソー滅多斬り”や、奥さんのフェ●チオ→チ●コ噛み切りというゴアな描写が話題(?)になりましたが、今回もなかなか。
夫婦で一致協力して、水を張ったシンクに顔突っ込みつつディスポーザー起動させて腕ミンチ! 絶叫する男の脳天にミニピッケル一閃!
ここいらへんは観ていて肩に力が入ります。
最後の1人の始末が呆気ないなぁと思ったら、ちゃんと“とっておき”なプレゼントが用意されていました。このラストカットだけでも観る価値はあります。
辛い場面が苦手な人、気が短い人は、黙って1時間早送りして、後半をじっくりお楽しみください。