デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

これぞ真の二次利用。 ハリウッド・ブルバード

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おっと、いけねぇ、一杯あったジグゾーパズルのピースが混ざっちまった。

ま、いいや、使えそうな奴だけ適当に組み合わせて・・お、何かそれらしい絵になってきたぞ。じゃ、足りないところだけ自分で作って・・出来た!

そんな映画です。

「ハリウッド・ブルバード」
(1976年/ジョー・ダンテ&アラン・アーカッシュ監督)

映画女優になることを夢見てハリウッドにやってきたキャンディ(キャンディス・ライアルソン)。

生き馬の眼を抜くハリウッドで彼女が飛び込んだのは、低予算・早撮り・エログロアクション、人の命は一山幾らのミラクル映画社。

作品自体がロジャー・コーマン率いるニュー・ワールド・ピクチャーへのオマージュになっているので、当然、本作もコーマン精神に貫かれています。

まずは倉庫に眠る膨大なストックから使えそうなシーン(主に金の掛かるアクション・シーン)をチョイス、ストーリーに関わる所のみお抱えの安い俳優でちゃちゃっと撮って、手品のようなパッチワークで繋げば、“アメリカの夜蒲田行進曲”の出来上がり。

この“愛しているけど金は掛けない”精神を許容できる人のみが本作を堪能できます。

後半のカーレース撮影シーンに使われる車は「デスレース2000年」のもの。キャンディもしっかりフランケン(デヴッド・キャラダイン)コスプレ(←そうしないと「デスレース2000年」本編の流用部分と繋がらなくなるから)。

エージェント役はディック・ミラー。自身がボリス・カーロフと共演した「古城の亡霊」をドライブイン・シアターで観て「昔は俳優もやっててね」なんて嘯く境界線の無さ。

因みに「古城の亡霊」はボグダノヴィッチのデビュー作「殺人者はライフルを持っている」でも再利用されているので、一粒で3度美味しい働き者です。

終盤にはなんとゴジラ(本編中の名称はゴジナ―GODZINA―。流石に円谷の映像流用はしていない)まで登場。

金を取って観せるのは如何なものかと思わなくもないですが、愛すべき珠玉のトラッシュ・ムービーです。

※参考:「デスレース2000年」→2008年12月3日
※ディック・ミラーと言えば・・
 「ロジャー・コーマンだ!頭使って金使わず! 血のバケツ」→2008年12月9日
 「ジグソウ並みの無理難題。殺人者はライフルを持っている」→2010年8月26日