1977年、大晦日。紅白歌合戦。1曲の歌が日本中の団欒を凍りつかせました。
♪ あたしの心の深い闇の中から
おいで おいで
おいでを する人、あんた誰!?
髪振り乱し絶叫するちあきなおみは完全にホラーでした。
そしてこの曲「夜へ急ぐ人」を作詞・作曲した人こそ、本日の主役、友川かずき氏です。
「IZO」(2004年/三池崇史監督)
極刑に処せられた岡田以蔵(中山一也)が時空間を超越、IZOとして復活。
『どこに行こうとしているんだよ?』
『統治する者、そのぬくぬくたる牙城へ』
『行ってどうするんだよ?』
『・・天誅!』
ストーリーなどあって無きが如し。
『在りもせぬものを在るとうそぶくペテン師どもめ。もし、神仏在らずんば、うぬらこそ稀代の詐欺師どもと知れ!』
捻じ曲がった時空はIZOを現代社会にも召喚。
『山田君、愛とは何ですか?』
『それは言葉です』
『では、民主主義について述べてください』
『民主主義とは人間の文明の副産物である一種の催眠であり錯覚です』
『それでは佐藤さん、国家とは何でしょうか?』
『国家とは人の頭の中だけに存在する悪質な妄想です』
IZOと共に脚本家・武知鎮典が果てしなく暴走して行きます。
そして、IZOの心情を吐露するかのように友川かずきが本人顔出しでギターかき鳴らして叫び続けます。
“♪テーブルにピストルがある!
テーブルにピストルがある!
それは約束された花なのか?
それは裏切りの重量なのか?”
武知先生曰く、この映画は「お経」なんだそうです。
三池監督曰く、できるだけボ~っと観てください、との事。しかし、ボ~っと観ると100%寝ます。爆睡。途中目覚める事無く一気呵成に魂の深淵まで沈みます。
適度な緊張感を持って観る事をお薦めします(笑)。