100万年かけて現在の形になった岩山ハンギングロック。
「100万年も待っていたのね、私たちが来るのを」
1900年2月14日。オーストラリアの寄宿舎制女学院アップルヤード女学院の生徒は課外授業でハンギングロックへ出かけました。
校長からの注意事項は、町を出るまで手袋を外さぬ事、毒蟻に注意すること、
そして、神の嫉妬に巻き込まれぬ事。
最後のひとつは劇中の台詞にはない宣伝用コピーですが、良く出来ていると思います。
この課外授業中に3人の女生徒と1人の女教師が忽然と姿を消した、という実話(←多々異論有り)の映画化です。
冒頭、寄宿舎の朝。光と風に祝福される妖精の如き少女たち。
ちょっとハイキーな映像の中で、また見ぬ恋を語り(それは同性愛的告白でもあり)、一列になってコルセットを絞め合い・・正に無垢なるロリータ。
失踪事件に関しては何の解決も謎解きもありません。
ただ、意図的に散らされた気になる描写はあります。
教師、御者の時計が揃って12時で停まってしまった事(強力な磁場)。
最後に目撃された女教師がスカート無しのコルセット姿だった事。
失踪後、唯一生還した少女アーマの着衣にコルセットがなかった事。
夢遊病のように岩の裂け目に入っていく3人の少女(ミランダ、マリオン、アーマ)。取り残されたイーディスは何を目撃して絶叫にも似た悲鳴をあげたのか。
原作はジョアン・リンゼイって人が1967年に発表した小説(!)で、作者自身「事実かフィクションかを伝える事はできない」などと言い垂れており、どこまで本当なのかは藪の中。
原作発表当時、失踪の核心に触れる描写はカットされており、作者の死後に公開されています。概要を見ただけですが、実に超自然的な、あるいはXファイル的な、見ようによってはクトゥルフ的な展開になっており、カットしておいて正解だったかな、とは思います。
少女の美しさに眼を奪われていると、何が何だか分からないうちに終わってしまい、狐につままれたような気分になりますが、あちこちにヒントが隠されているので、繰り返しチェックしてみるのも一興かと。