デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

遊星から来た兄弟。ブラザー・フロム・アナザー・プラネット

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宇宙の彼方からオンボロ宇宙船で逃げてきたエイリアン。

操縦不能になった宇宙船は身近な惑星に墜落。落ちたのは地球、アメリカ、エリス島。

そこはハーレム。驚いた事にそこに住む生き物はエイリアンと同形・同色。

物言わぬ静かな闖入者を彼らはこう呼びました。

ブラザーと。

「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」

(1984年/ジョン・セイルズ監督)


口はきけないが、相手の言葉は理解できる“ブラザー”は、手かざしで機械を直し、傷を癒す特殊技能保持者。

更にブラザーは接触する事で、モノに沁み込んだ残留思念も感知。撃たれた人が座っていたスツールに腰掛けるとその時の衝撃を感じ、地下鉄の柱に触れば事故の悲鳴を聞き取ってしまう超ナイーヴ感性の持ち主です。

家も見つかり仕事もこなして人に街に溶け込んでいきますが、ブラザーを追ってきたエイリアン・ハンター(白人二人組み)がすぐそこまで。

ブラザーの写真片手に聞き込みに回る二人組み(1人は監督、ジョン・セイルズ)に街の人が“知らんぷり”を決め込む姿が微笑ましい。

メキシコ人はメキシコ語でまくしたて、役所の窓口は、「あ、じゃこの書類とこの書類とこの書類に記入して7番の窓口に持っていって。IDを添えてね。年金受給番号も忘れずに」という役所ならでは嫌がらせで撃退。

バーの客が体を張ってブラザーを守るシーンでは壁に「燃えよドラゴン」のポスターが(トイレには「死亡遊戯」のポスターが)!

「地球に落ちてきた男」と「コーンヘッズ」のほぼ中間(触れ幅がデカ過ぎて例えになってないな・・)に位置する“奇妙な味わい”のSFです。

「ピラニア」「アリゲーター」「ハウリング」の脚本書いた人が、一転こんなもの作っちゃう・・この人も触れ幅大きいよなあ。

因みに、本作DVDは、吹き替え無し、特典無し、チャプター無し、メニュー画面無し、字幕のオン・オフ無し、時間表示すら出ないという“いきなり&これだけ”な究極仕様。

なあ、せめてメニュー画面くらい作らないか、エムスリイエンタテイメント(あ、バップも出しているのか、そっちはどうなんだろ)。