デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ライフワークは手? ジョン・ブアマン/脱出

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以前レビューした「クライモリ/デッド・リターン」は実に語り所の無い作品でしたが、1箇所だけ気に入っている台詞があります。

森の中でいきなりトップレスになった女の子(この後、瞬殺されます)に連れの子が、

「誰かが見てるかもよ」
「誰が?」
「さあ…バンジョー持った男の子とか」
「何それ?」
「…忘れて」

元ネタは勿論、

「脱出」(1972年/ジョン・ブアマン監督)

ダム建設で湖の底に消える河でカヌーに興じるため、奥深い渓谷に分け入った4人の男が遭遇する嫌ぁな体験。

河に入る前に立ち寄った山中のガソリンスタンドにバンジョーを持った精薄の少年が。

ギターを持っていたドリュー(ロニー・コックス)が簡単なフレーズを弾くと、正確に同じフレーズを返してきます。

やがて始まるギターとバンジョーのセッション。この“デュエリング・バンジョー”だけでも本作を観る価値があります。

監督は「エクソシスト2」(傑作!)のジョン・ブアマン

この人、“水面から突き出される手”というイメージに一方ならぬ執着を持っているようです。

本作では川面から浮き上がる手(写真上から2つめ)、「未来惑星ザルドス」では穀物の山の中から突き出されるショーン・コネリーの手、そして極めつけ「エクスカリバー」では湖面を突き破る聖なる剣を持った手。

これは最早ライフワーク。突き出る手指はブアマン印。

まあしかし、本作といい、「激流」といい、「ディセント」といい、川下りなんかするとロクな目に遭いませんな。

 

★ご参考