以前レビューした「クライモリ/デッド・リターン」は実に語り所の無い作品でしたが、1箇所だけ気に入っている台詞があります。
森の中でいきなりトップレスになった女の子(この後、瞬殺されます)に連れの子が、
「誰かが見てるかもよ」
「誰が?」
「さあ…バンジョー持った男の子とか」
「何それ?」
「…忘れて」
元ネタは勿論、
「脱出」(1972年/ジョン・ブアマン監督)
ダム建設で湖の底に消える河でカヌーに興じるため、奥深い渓谷に分け入った4人の男が遭遇する嫌ぁな体験。
河に入る前に立ち寄った山中のガソリンスタンドにバンジョーを持った精薄の少年が。
ギターを持っていたドリュー(ロニー・コックス)が簡単なフレーズを弾くと、正確に同じフレーズを返してきます。
やがて始まるギターとバンジョーのセッション。この“デュエリング・バンジョーズ”だけでも本作を観る価値があります。
監督は「エクソシスト2」(傑作!)のジョン・ブアマン。
この人、“水面から突き出される手”というイメージに一方ならぬ執着を持っているようです。
本作では川面から浮き上がる手(写真上から2つめ)、「未来惑星ザルドス」では穀物の山の中から突き出されるショーン・コネリーの手、そして極めつけ「エクスカリバー」では湖面を突き破る聖なる剣を持った手。
これは最早ライフワーク。突き出る手指はブアマン印。
まあしかし、本作といい、「激流」といい、「ディセント」といい、川下りなんかするとロクな目に遭いませんな。
★ご参考