正義の価値は。 公安警察捜査官
「俺は日の丸が好きだよ。生まれた国の旗が日の丸で良かった」
「階級なんて関係ない。体を張った奴が一番偉い。それが警察だ」
「俺たちの正義と、国の正義と何が違うんですか」
なかなかに重たいテーマではあります。原作が元警察官の暴露系自慢話(北芝健著「スマン!刑事[デカ]でごめんなさい」←本人も教官役で出演)なので、そこそこ現実に即したエピソードなのかもしれませんが、主役が竹内力という時点で全部チャラです。
「公安警察捜査官」(2006年/鈴木浩介監督)
停職中に爆弾処理という怒りながら誉める功績をあげた刑事・狩場健(竹内力)に下った裁定は“公安転籍”という異動命令。
そこには“国益”という今までとは一味も二味も違う保護法益が。
犯人を逮捕しても“国益”の為にリリースしなければならない時も。
外交官特権を振りかざす某国を恫喝するCIA高官(セイン・カミュ)の脅し文句が素敵。
「日本でテロを起こすという事は、アメリカに喧嘩を売るという事だ。俺たちは宣戦布告無しに市街地にミサイルを撃ち込む国だぞ!」
従来の刑事ドラマでは嫌われ者役の公安が主役というのが斬新。本作での嫌われ者は法務省公安調査委員会(公調)。上には上(下には下?)がいるものです。
高慢な日系の女CIA調査官(遊井亮子)が、紅一点の割には(性格描写が)イマイチ可愛くないのが残念ですが、サクサクと観れるお手軽作にはなっています。
「ねえ、四十九日って何?」
「49日経つと魂が成仏できるんだ」
「それまで何してるの?」
「残していく者に寄り添っている。悲しみを癒すために」
「センチメンタルね、日本人って」
冒頭の台詞は潜入捜査を控えた尾美としのりの台詞。俺も日の丸の国に生まれて良かったよ。