着眼は買いますが…。コリン LOVE OF THE DEAD
主人公がゾンビという新機軸、制作費が45英ポンド(=約6千円)というウルトラ低予算、この2点が高評価のポイントのようですが、ううむ…。
「コリン LOVE OF THE DEAD」(2008年/マーク・プライス監督)
場所はロンドン。町はゾンビで溢れかえり、治安って何?な無政府状態。
青年コリンもゾンビに腕噛まれて大ショック!の所を既にゾンビ化していた同居人ダミアンにうなじ齧られてダメ押し。めでたくゾンビに…。
人としての記憶も感情も失ったコリンですが、心の奥深く、かすかに残った生前の残照を頼りに町へ。目指す場所は何処?
この視点は確かに斬新。恐怖の対象はゾンビではなく、ゾンビを狩る生者。とぼとぼと彷徨うコリンが出会う(目にする)地獄巡りのいい旅夢気分。
ゾンビ映画のお約束(噛まれたら感染、ほどなく死んでゾンビとして復活。生者を襲って生肉パーティ)を観客が熟知している事を前提に作られているので、余計な説明は一切無し。ひたすら流離うコリンをカメラは追いかけていきます。
これが実に冗長・散漫。
ゆっくり歩く(ロメロ型)からって、そのままゆっくり撮ってどうする?
そのくせアクションシーンは何を誤魔化そうとしているのか、手持ちカメラ振り放題・ブレ放題・カット割放題で何が何やら。
ラストでぐるっと話が一周する円環構造をとっているのですが、この1発ネタで97分は長すぎ(緊張感持続不可。途中で飲み物取りに行かせたりしちゃダメよ)。
ボランティアの割にはそこそこ群舞していますし、「ゾンビ」のロジャーの台詞引用など、ゾンビ好きの名刺代わりなシーンは微笑ましいのですが。
もし、この内容が50分に収まっていたら、ゾンビ史に残る快挙になったと思います。