絵は綺麗になりました。サウンドも重厚。でもやっぱり恥ずかしい。何故この人は自主映画という殻に閉じこもろうとするのでしょう。
「鉄男 THE BULLET MAN」(2009年/塚本晋也監督)
オリジナルから唯一退化したのはパワー。
いらないんですよ、ストーリーなんて。鉄男の誕生秘話とか。追う者の理由とか。
極端に言えば台詞も全部削ぎ落として、映像と音響(音楽ではない)だけで引っ張るくらいでないと。
突然、肉体が金属と化し、制御不能の暴走を始める…それだけでいいじゃないですか。
それを、過去のいきさつとか、企業プロジェクトとか、やたら説明的台詞で語っちゃうから、出来の悪いハルク(もしくは出来の悪いAKIRA)に…。
金属にトランスフォームしていく過程の手作りメイクも変(正直かっちょ悪い)。
バトルシーンは手持ちカメラ振り回してカット割り放題なので、よく言えば勢いがありますが、何が何だか全く分からない(引いて魅せるべき映像がそもそも存在しない)という意味ではストレスマシン。
塚本さんのナルシスト演技も辟易。
台詞は全編英語にする必要なし、という意見もあるようですが、英語で正解。なぜなら日本語字幕が付いて台詞の内容が間違いなく受け取れるから。
こんなウィスパーな台詞をこんな録音レベルの日本語でやられた日にゃ、半分も聞き取れないです、多分。
海外で評価されている貴重な日本人ではありますが、駄目よ、こんなものカルトとして奉っちゃ。
※参考:「自主魂炸裂(←褒めてません)!鉄男TETSUO」→2010年2月18日