デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

絶望という名の光(Jホラー、次の一手は暗中模索)。 恐怖

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日本にはマッドサイエンティストが生まれる土壌がないのか、なかなか医療ホラーの成功例に出会えません。

思いつく作品と言えば、2004年の「感染」(落合正幸監督)くらいですが、世評はボロボロでした(←雰囲気は嫌いではないです)。

ブームもすっかり終焉した今、Jホラー関係者は(恐怖表現としての)次の一手を模索中だと思いますが、本作は産みの親からの回答書。

「恐怖」(2009年/高橋洋監督)

脳に直接電気的ショックを与える事によって、本来見えないはずのものを見るという実験にとり憑かれた女医(片平なぎさ!)。

そしてその実験に巻き込まれていく二人の娘(中村ゆり藤井美菜)。

全体的にこなれていないのが残念。

三者(母、娘二人)の意識の存在をぼかす事で、現実と幻想、生と死の境界を曖昧にしているのですが、効を奏しているとは言い難く…。

破綻がウリの「発狂する唇」「血を吸う宇宙」の系で語られるならともかく、大上段に「恐怖」と銘打ってしまった以上、それなりの展開と着地点を示してもらわないとちょっと得心がいきません。

結局、一番怖かったのが片平なぎさの顔ってのはちょっと…。

一度Jホラーは、今までの表現を全部忘れて(捨てて)、全く別のアプローチを考えた方が良いような気がします。