デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

名曲テーマは七難隠す。 黒い警察

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「4人の子供を持つ警備員を殺した奴を無罪にする法制度こそ犯罪だ」

法の網をくぐる悪を裁く闇の処刑人。個人でやれば、「デス・ウィッシュ・シリーズ」から「デスノート」に連なる“ヴィジランテ”系。組織(特に警察機構)でやれば「ダーティ・ハリー2」から「密殺集団」に連なる“黒い警察”系となります。

名前の由来にもなったジャンルの先駆けが、

「黒い警察」(1971年/ステファーノ・ヴァンツィーナ監督)

証拠不十分で無罪となった悪党、逃走中の強盗殺人判、娼婦に男娼に共産主義者、腐敗と堕落の象徴が次々と血祭りに。

背後に組織的暗殺集団の存在を感じたベルトーニ警部(エンリコ・マリア・サレルノ)は独自に調査を開始しますが・・。

ステルヴィオ・チプリアーニによるテーマ曲が前立腺まで刺激するかっちょ良さ。

人物の描き込みの浅さもテンポの悪さも力技で帳消しにしてしまう名曲です。

アクションは少なめですが、強盗犯人が人質の女性とバイクで逃走中に警察の追跡を振り切るため女性を突き落とし、パトカーに景気良く轢かせるという人でなしな見せ場が用意されています(マカロニ魂満開!)。

観客はアンチ・ヒーローとしての“黒い警察”に肩入れしがちですが、主役は警部。あまり持ち上げるわけにもいかないので、彼らの目的が、社会転覆と独裁時代の復活にあるという事にして何とか“悪者”になってもらいました(笑)。

嫌味な検事が最後に「Z」のジャン・ルイ・トランティニャンになる事を匂わせ、バッド・エンドの中に希望を持たせていますが「ああ、でもこの検事も…」な雰囲気ぷんぷんなのが、何とも言えずいい感じでした。