『お前の拳銃よこせ!俺のだけじゃ足りねぇんだ!』
執念の刑事が犯人追って列島縦断!と言うと「君よ憤怒の河を渡れ」的スケールを想像しちゃいますが、本作はちょいと事情が違います。
何せ追いかけているのは事件ではなく、ヤクザと駆け落ちした女房ですから。
混じりっ気無しの100%純粋私怨。
「やさぐれ刑事(デカ)」(1976年/渡辺祐介監督)
麻薬ルート構築の尖兵として神戸ヤクザが札幌へ。
北海道警察の刑事・西野(原田芳雄)は、その尖兵が、かつてパクったヤクザの幹部・杉谷(高橋悦史)と知って俄然やる気モード。
しかし、杉本は西野の上司を射殺した挙句、西野の妻・真穂(大谷直子)を寝取って遁走。
西野は警察手帳を人力シュレッダーして、恨み晴らしの殺し旅へ。
冷静に考えると登場人物全員の行動原理が変。
何故、杉谷は西野本人を狙わず(西野の上司は一発で射殺したのに)手間のかかる小芝居(自動車のセールスマンを装って何回も訪問)まで打って真穂に近づいたのか。
色々不満はあったにせよ、何故あっさり真穂は杉谷に落ちたのか。
西野に対する精神的揺さぶりが目的だったとして、何故、真穂に情を移して駆け落ちまでしたのか(麻薬のルート開設という使命はどうした?)。
各地で死体の山を築く西野を何故、同僚刑事の松井(清水“アイフル”章吾)は黙認のみならず積極的アシストまでしているのか。
考え出すとキリがない疑問符の大洪水・・ではありますが、原田、大谷、高橋3人の存在感で全部チャラ・・にはできないな、やっぱり(笑)。
さて、リクエストの甲斐あって(?)、「生きてるうちが花なのよ、死んだらそれまでよ党宣言」がDVD化される事になりました(2012年1月21日発売)。
死なんとソフト化もして貰えんのか?とも思いますが、されないよりはマシなので善しとします。ありがとー、東映ビデオ。