CSファミリー劇場で「非情のライセンス」第Ⅲ期の放送が開始されました。
そうです、シリーズの締めくくりのみならず、最後にまさかのSF的大謀略を持ち出して、特捜部を壊滅させ、続編不可能な幕引きをした、あの第Ⅲ期です。
その飛ばし具合は序盤から早くも炸裂。
警視庁の隣の喫茶店のママと言えば、基本、幕間の賑やかし。西部警察の吉行和子が代表ですが、主役刑事をおちょくるのが仕事で、ドラマに絡む事はありません。
しかし、ここに例外がひとりいます。警視庁御用達の喫茶店「エスプリ」のママ、しずえ(野川由美子)。
第1話では、喫茶店のママにしては度胸も据わっているし、少々危険な橋も臆せず渡る会田刑事(天知茂)の協力者的描かれ方をしていましたが、第2話で一気にアクセル全開。
なんと彼女は汚職の百貨店・日東商事が送り込んだ特捜キメ打ちの内偵者だったのです。
「非情のライセンス/第3シリーズ第2話 兇悪の素顔・あなたと死にたい!」(1980年5月8日放送/池広一夫監督)
政財界を巻き込んだ黒い取引の証拠書類を巡る攻防戦。
会田の捜査網が狭まった事を知った日東商事・企画調査室長・榊(平田昭彦)は、『会田が来ます。常務、お覚悟を』の一言で重要参考人である常務をビルから一押し。
直後に本件は自殺、詮索無用とのお触れが捜査1課に。
更に、日東は、しずえを使って会田を買収(小切手記載額は2億円!)。
会田はこれを逆手にとって日東ガサ入れのニセ情報をリーク。榊が機密書類をまとめた所でアタッシュケースごと横取り(当然、小切手は目の前で人力シュレッダー)。
しかし、アタッシュの鍵を開ける前にしずえが特捜に単身カチコミ。窓の外には旋回する1機のヘリコプター。
『上じゃないの。下を見て』
会田がビルの下に目をやると、駐車中の車が狙撃されて爆発炎上。
『次は高速で走行中の車が火を噴くわ。時間がないの、早く鞄を返して!』
窓際でヘリをバックに大見得を切る野川由美子のかっちょいいこと。
お話はまだ序盤。まるで最終回のようなハイテンション。
更にここから「ない、ない」な展開が続くのですが、天知と野川の眼力一発で瑣末な常識論など鎧袖一触。
そこにいるのは、持ち札全てを張っている男と女。
嗚呼、ガキんちょが出てこないドラマって本当に落ち着く。
驚天動地の最終回が今から楽しみです。