『あの娘に惚れた!
俺はあの子が大きくなるまで童貞を守るぞ!』
『…守るって…何から?』
かつてこれ程大量に死体の山を築いた正義の味方がいたでしょうか?
しかも、そのほとんどが11歳の少女によるもの…。
彼女の名前はヒット・ガール。クロエ・グレース・モレッツ。
その神業的殺しのテクニックに、その悲壮感溢るる可憐さにひれ伏しましょう。
「キック・アス」
(2010年/マシュー・ヴォーン監督)
本当の主役はヒーローに憧れ、実践するコスプレ凡人アーロン君(ヒーロー・ネーム:キック・アス)。
「バス男」→「ゾンビ・ランド」→本作に連なる“凡人の証”カーリー・ヘアの高校生。
彼が出会う本物のヒーローが、バットマン似のビック・ダディ(ニコラス・ケイジ)とロビン+カトーな美少女ヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)。
ニコラスは本作で“イカレ親父”という余人を以て代え難いポジションを確立しました。
ヒーローものパロディとして様々なお遊びが盛り込まれていますが、それは観てのお楽しみ。
DVDで観る時は吹き替えをオススメします。字幕は日本語の整合性がとれていないので分かりにくいです。
例えば、キック・アスがガールフレンドにつきまとってくるチンピラの所に行くシーン。字幕だと、
「二度と彼女に近づくな」「断ったら?」「もう一度僕が来てお前の脚を折ってやる」
これだと何故、キック・アスが出直して来るのか理解できませんよね。吹き替えだと、
「二度と彼女に近づくな」「近づいたら?」「もう一度僕が来てお前の脚を折ってやる」
これなら時系列が整理されてすんなり理解できます。
もうひとつ。ヒット・ガールが悪の本拠地に単身カチコミをかけるクライマックス。
奥の部屋に隠れているボスとドラ息子に向かって用心棒が、
「問題ありません(と言いつつバズーカを手に取る)」、それを見たドラ息子が、
「女の子ひとり相手にバズーカ?」
ボスもドラ息子もモニター見ている様子はなかった(用心棒も最初はドア越しに外の気配を窺っていた)ので、殴り込んで来たのが女の子ひとりとは分からないはずなんです。吹き替えだと、
「問題ありません(と言いつつバズーカを…)」
「問題無いって・・じゃ何でバズーカがいるんだよ?!」
この方が辻褄は合っています(残念ながらレンタルDVDには英語字幕がついていなかったので、本当の台詞がどうだったかの検証はしていません)。
字幕翻訳者ってのは前後の繋がりってものを考えないのでしょうか?(誤訳の女王の嘘八百字幕に比べれば大した事ないですが・・)
ところでドリュー姐さん、ちいっと年齢に開きがあるけど、クロエとジージャーとエレン・ペイジでチャーリーズ・エンジェル作ってくれませんでしょうか?
※参考:「先生、いくら何でもこの字幕は。ギャラクシー・クエスト」→2008年10月17日