俺はエルヴィス・プレスリー。キングと呼ばれた男だ。
死んだはずだって? あれはソックリさんだ。入れ替わったのさ、何もかも嫌になって。
今じゃこのド田舎の老人ホームでまったり暮らす腰の悪い老人だ。目下の悩みは腫れ上がった股間。もう何年も勃ってないのに。
俺の話を信じてくれる入居者はひとりだけ。黒人のジャック。本名はジョン・F・ケネディ。脳の一部を切り取られて黒く塗られたらしい。奴らに。
平和な日々だったが、ある日、とんでもない珍客がやって来やがった・・。
「プレスリー VS ミイラ男」
(2002年/ドン・コスカレリ監督)
ブルース・キャンベル(死霊のはらわた)×ドン・コスカレリ(ファンタズム)。
これだけで、ごはん3杯はいけます(笑)。
エルヴィス(キャンベル)とJFK(オシー・デイヴィス)が静かに余生を過ごすテキサス州マッドクリークの老人ホーム。
その近所を巡業していた「ミイラ展」から一体のミイラが盗まれた。犯人の乗ったバスは大雨の中、橋から川に落ちて行方不明に。
何の因果か5000年ぶりに地の果てアメリカで覚醒したミイラ男は、死んでも怪しまれない死にかけ老人の尻の穴から魂を吸い取るために、老人ホームへ。
次々に変死する爺さん婆さん。トイレの壁に書かれた象形文字から犯人がミイラ男と気づいたエルヴィスとケネディは、老人ホームを守る為、失われた誇りを取り戻すために立ち上がった!
素晴らしい! 何て馬鹿で、くだらなくて、泣ける設定なんだ。
コスチュームという正装に身を包み、エルヴィスは歩行器で、ケネディは電動車椅子で、並んで戦いに赴く様は、まるで「ワイルドバンチ」の死の行進(ブライアン・タイラーの音楽がまた良いんだ)。
キャンベルに「死霊のはらわた」以外の、そしてコスカレリに「ファンタズム」以外の代表作が生まれた事が実に喜ばしいです。
※参考:「ファンタズム」→2008年1月24日
「死者の書発見!死霊のはらわた」→2008年11月24日
「ファンタズム(の音声解説)」→2009年3月6日
「最早前衛? ファンタズムⅣ」→2009年7月27日
「銀球がメカゴジラ並にパワーアップ。ファンタズムⅡ」
→2010年3月16日
「廃墟っていいなあ。ファンタズムⅢ」→2010年3月19日