「嫌だなぁ。また疎開か」
1954年という時代を切り取った見事な台詞です。
本棚の奥から「GODZILLA King of Monsters」のビデオテープ発掘。あーら懐かしいわね、と久々再見・・いやあ、酷い(笑)。
何の活躍もしない傍観者のデブ外人(レイモンド・バー)シーンを撮り足した挙句、上映時間が短くなっている(97分→80分)ってどういう事?
編集は時間軸無視した滅多斬りだし(台詞の整合性も合っていない)。
大体、外人の一人称視点で語り入れているのに、この外人不在のシーンがあるのおかしいだろ(うわぁ、ラストの山根博士独白がまるまるねぇ)。
ここはやはり本家本元に登場してもらわねば。
「ゴジラ」(1954年/本多猪四郎監督)
素晴らしい!(いきなり結論)
これだよ、これ。ったくどんな神経していると、この素材からあんなゴミクズ作りだせるんだ・・。
何でもアメリカ視点にしちゃう貧困な発想の終着駅が昨今の「手当たり次第ハリウッド・リメイク」という愚考の表面張力だと思えば、その端緒を確認できた事には意義があるかもしれませんが・・。
オリジナルに関しては最早私ごときが語るべき言葉なぞありませんが、一言、音響技師・三縄一郎氏を讃えたいと思います。
伊福部昭先生が思いついた“コントラバスの軋んだ音”という原音に逆回転などの技巧を加えてゴジラの鳴き声を作った人です。
敗戦直後という時代設定、忌まわしい記憶である“核”の再臨というテーマ性も勿論素晴らしいですが、本作を映画たらしめているのは、間違いなくあの声です。
あの地獄の咆哮がなかったら(あるいは全く別の声だったら)、本作はここまで人の記憶に留まりはしなかったような気がします。