デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

モーゼルVSホークアイ。拳銃殺陣師・国本圭一参上! 狙撃

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『人を狙ってばかりいれば、たまには狙われる事もある。俺は人の悪意には割りと寛大な方なんだ。
 殺された奴の悔しさを思えば、俺がたまに狙われたからって、そいつを恨みがましく思える筋合いはないからね。
 俺の仕事を人は“殺し屋”と呼ぶらしい』

一匹狼のスナイパー・松下徹(加山雄三)。危ない橋と分かって渡った大仕事。報酬は死神のような殺し屋・片岡(森雅之)との命を張った真剣勝負。

「狙撃」(1968年/堀川弘通監督)


拳銃殺陣師・国本圭一氏(現ウェスタンアームズ社長)の仕事ぶりという視点から語られる事が多い(と言うかその側面からしか語られない)作品ですが、そもそもの製作意図が“リアルなガンアクションの追求”にあったのですから、それでいいんです(断言)。

レバーひとつでシングルとフルオートを使い分けるノクトビジョン(赤外線暗視装置)付きAK47(写真上)。

ブローバックによる薬莢排出を実現したモーゼル

そして、6連発リボルバーのフレームを利用した“1発だけ”撃てるハンティング用シングルショット拳銃ホークアイ(写真2枚目。仕込む弾は軟頭弾―ダムダム弾―)。

外観はリアルでも引き金以外は可動しない当時の撮影用電着銃に対する不満を一挙に解消するリアル・プロップガンの数々。

加山雄三は巧い役者ではないかもしれませんが、類稀な運動神経の持ち主であるのは確かです。

ショルダーホルスターに入れたホークアイを左手で抜くリバース・ドロー(左脇に吊ってある銃を左手で抜いて右手でファニングする)の速い事(写真3枚目)。

ラストの海岸対決で走りながら脚を撃たれ前方一回転する動きの美しい事(しかも倒れながら左手でショルダーホルスターからホークアイ抜いてるし!)。

加山に武器を提供する左翼崩れに岸田森(物凄い安心感)、紅一点に浅丘ルリ子

『誰かに狙われ、あなたは今、その人と闘おうとしている。闘える事の緊張を楽しんでるんでしょ。不思議だわ。そんなあなたを見ていると、何だか私も楽しくなってくるわ』

ガンアクションのリアルさに反して、加山と浅丘のラブシーン(?)は妙に前のめり。

特にニューギニア・コスプレ(全身黒塗り&ペイント)で浅丘が踊り狂い、加山がボンゴ叩きまくるシーンは前衛の極み。音楽テープを再生しているというカットが入るので恐らくイメージ映像(激しいSEXの暗喩?)なんだとは思いますが、正直、二人とも気が触れたのかと思いました。

※参考:「靖国神社で! 豹(ジャガー)は走った」→2011年5月26日