デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

マカロニ魂に小細工無し! 片腕サイボーグ

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低予算SFでサイボーグを持ち出す場合、常套手段として

“スローモーションを多用して素早く動いているように錯覚させる”

“ちょっとジャンプしているだけなのに♪シュワワワワワワワンな効果音を入れて物凄い身体能力があるように見せる”

なんて小細工をしますが(例:600万ドルの男)、マカロニ野郎はそんな小手先のハッタリに頼りません。

スロー無し、効果音無し、特撮限りなく無し、強さの証明は腕相撲。天晴れです。

「片腕サイボーグ」
(1986年/マーティン・ドルマン監督)


この邦題だと片腕だけがサイボーグみたいに聞こえますが、主人公は全身の70%が機械化されたサイボーグ。なので、正しくは“7割サイボーグ”もしくは“七分ロボ”です。

※原題も“Hands of Steel”で、両腕鋼鉄。得意技は合掌捻り

環境破壊しまくって酸性雨が降りしきる近未来(でも舞台がアリゾナなので基本ピーカン)。

企業の環境破壊を告発する自然保護団体のリーダー暗殺に差し向けられた7割サイボーグ、パコ(ダニエル・グリーン)。

しかし、実行の瞬間、残り3割の人間性が目覚め(ゴーストが囁き?)、手加減パンチ1発でその場を逃走。

殺人機械パコを作ったターナー財団は危険な不発弾となったパコをFBIより先に“回収”するために名うての殺し屋を雇って追撃にあたらせますが…。

ここまでが導入。パコ、ターナー財団、FBIのくんずほぐれつな展開を期待していると物語は明後日の方角へ面舵一杯。

パコは自分探しのため故郷アリゾナへ。途中立ち寄ったダイナー&モーテルの女主人(ジャネット・アグレン←「地獄の門」にも出ているシャーロット・ランプリング系クール・ビューティー)とほのかなロマンス。

トラック野郎たちと腕相撲で盛り上がり(流れ者が酒場の荒くれ者たちと悶着を起こす西部劇のアレです)、その間に追っ手が証拠を集めては消し、集めては消し…。

ええっと、おじさん何の映画観てるんだっけ?と思い始めた頃、一気に怒涛のアクションつるべ撃ちモードに突入。

女サイボーグとの戦いは安いながらも“いい感じ”な仕上がり。

音楽はクラウディオ・シモネッティ、ターナー財団の理事長ターナージョン・サクソンというアルジェント組がイタリアの誉れを上塗りしています。