世界の終わりまで、あと28日と6時間42分12秒。
夢遊病のように家を出て、メタルうさぎに世界の終わりまでの残り時間を聞かされた高校生ドニー・ダーコ(ジェイク・ギレンホール)。
翌朝、ゴルフ場で目覚めて家に戻ると、空から降ってきた飛行機のエンジンが自分の部屋を直撃していました。
しかし、“落とし主”である飛行機は何故か見つからず…。
「ドニー・ダーコ」
(2001年/リチャード・ケリー監督)
時間旅行か、夢落ちか、死に際の走馬灯か。世界の終わりまでの残り時間は“やり直し”のタイム・リミットなのか。
様々な解釈が可能な(そのくせ、どの解釈にも穴があるように出来ている)騙し絵映画です。
うっかり鬼の首を獲ったような事を言うと後でエライ目に会いそうなので、取りあえずここでは「2回は観ろよ」というアドバイスだけを。
ヒントはあちこちに転がっています(でも幾つかはデコイだ、きっと)。
ドニーを導くのが“うさぎ”である事。
彼女と観に行く映画が「死霊のはらわた」と「最後の誘惑」である事(特に後者)。
ドニーがセラピーで催眠治療を受けている事(先生は「ファイナル・カウント・ダウン」でタイム・トラベル経験者のキャサリン・ロスだ!)
そして、監督のパーソナル・ベストが「2001年宇宙の旅」と「未来世紀ブラジル」である事。
ミステリーとしても、思春期の不安定な感じを切り取った青春映画としてもよく出来ていると思います(手触りは「マルホランド・ドライブ」に近いかも)。
自分の価値観を強引に押し付け、自分だけが善意と常識の塊と信じて疑わず、逆らう者は権力を誇示して脅迫する女(婆さん)教師が、実にリアルで嫌ぁな感じ。
脚本に惚れ込んだドリュー・バリモアが製作総指揮(先生役で出演も)。
北米版DVDにはDirector’s Cut(劇場版よりちょっと長い)があるようなので、今度取り寄せてみようかと思います。