予定調和に鼻水かける究極のバッド・エンドでありながら、泥の様な充足感を残す問題作をBlu-rayで再視聴。
うわあ、こりゃ完全に別物だ。
「セブン[Blu-ray]」
(1995年/デヴィッド・フィンチャー監督)
冒頭のサマセット(モーガン・フリーマン)宅の室内描写から解像度の差は歴然。
ハンカチの刺繍、コットンであろうシーツの質感、デザイナーのこだわりがきちんと映し出されています。
画だけではなく音の分離と解像度も格段に向上(むしろ、こっちの方が凄い)。
サマセットがミルズ(ブラピ)宅を訪ねた時にリアから流れる室内BGM。
あれ、こんな曲がかかっていたのか? DVDではほとんど気がつきませんでしたが、印象がまるで違います。
他にも店内BGM、雨、風、雑踏…音の粒が立っています。
実は本作の中に“私的好きな絵柄ベスト10”に入る構図がございます。
ジョン・ドゥ(ケビン・スペイシー)の指示で、最後の被害者がいる地点に向かう途中の高架鉄線の立ち並ぶ一本道を超望遠で切り取ったカット(写真)。
何がそうさせたのか分かりませんが、このシーンを観た瞬間、ぞわわと総毛立ったのを覚えています。
こういう望遠の本来あるべき使い方(空間を圧縮して遠近感を歪め、情報量を極限まで高める)、奥行き、シンメトリー、砂煙、黄昏時の太陽光・・好きなものが相乗的に重なって印象を深くしていたのかもしれません。
見る者の不安神経を逆撫でする一服の画。
音響監督、デザイナー、撮影監督の目指したものが、ほぼ正確にトレスされているのではないでしょうか(意図したものが意図した通りに表現される事が重要なのであって、それが鑑賞者個々人の嗜好に合うかどうかは別問題)。
DVDお持ちの方も買い換えて損はないと思います。