“♪暗い夜の帳が消える。朝が来たら眠りから覚めてほしいの。私のシーサー。(中略)私の胸で燃えている、燃えている、シーサー、シーサー、シーサー。キング・シーサー”
まさかの二番フルコーラス。
しかも沖縄音階とはかすりもしないムード歌謡。素晴らしい!
「ゴジラ対メカゴジラ」(1974年/福田純監督)
監督が本多じゃない、音楽が伊福部じゃないという事で邪険に扱われがちな本作ですが、馬鹿言っちゃいけません。
メカゴジラのかっちょ良さに心奪われない奴は男の子失格です。
釈版「×メカゴジラ」も大好きですが、本作は見所・突っ込み所の多さで他の追随を許しません。
海洋博を翌年に控えた返還間もない沖縄。
伝統歌謡仲里節を実演する国頭那美(ベルベラ・リーン)が怪獣の出現を幻視(しかし、何故か幻視した怪獣はキングギドラ)。
そして現われたゴジラ。行きがけの駄賃とばかりにアンギラスを顎外し(アンギラス血まみれ。合掌)。
さらに東京湾からコンビナートに上陸して火炎放射。火薬使いたい放題の大爆発。そこに斎藤製氷の倉庫からもう一匹のゴジラ登場!(ゴジラ飼ってたのか斎藤製氷!)
燃え盛るコンビナート群を挟んで対峙するゴジラとゴジラ。
後ゴジラのエルボースマッシュが前ゴジラの肩口にヒット。二の腕の皮膚が裂け、下から覗いたのは鈍く光る鋼の地肌。
最初に現われたゴジラは地球侵略を画策するブラックホール第三惑星人(素顔は宇宙猿人)の作った破壊兵器メカゴジラだった!
第三惑星人の基地は沖縄の玉泉洞。諸般の事情で自衛隊は勿論、在日米軍も登場しないまま、ゴジラ対メカゴジラ最終決戦突入!
ここに沖縄の守り神、キング・シーサーも加わり2対1のハンディキャップマッチながら、メカゴジラは首を180度回転させて前面背面同時攻撃という離れ業を披露。
もう目からビーム、胸からレーザー、指からミサイル、膝から機関砲。004が裸足で逃げ出す全身凶器。
この戦いを全力支援しているのが佐藤勝の音楽。ジャジーでアッパーなビッグバンド演奏が意外にも栄える栄える。
キング・シーサーのゲスト出演はご当地タイアップの走りで、この流れを汲んだのが同年にタイの猿神ハヌマーンとウルトラ兄弟が競演した「ウルトラ6兄弟vs怪獣軍団」ではないかと思います。
残念ながら後が続かなかったですが…。観たかったなあ、「ゴジラ対ダイダラボッチ」とか「ウルトラマン対なまはげ」とか…。
※参考:「メカと萌え、無敵の合体。ゴジラ×メカゴジラ」→2008年7月19日