ジャッキー・チェンにとって1985年は、「プロジェクトA」翌年、「ポリス・ストーリー/香港国際警察」同年、そして「サンダー・アーム/龍兄虎弟」前年です。
絶頂期と言っていいと思います。
そんな時代に、ジャッキーの持つ華を全て消し去り塵ひとつ残さない…。
恐るべしグリッケンハウス。
「プロテクター」(1985年/ジェームズ・グリッケンハウス監督)
麻薬密輸組織を追って、ニューヨーク-香港を股に掛けるジャッキー刑事の大活躍・・なのですが・・。
冒頭、ブロンクスでストリート・ギャングがトラック襲って荷台強奪。これが後の事件の伏線になるのかと思いきや、以後完全スルー。
テキサスから来たトラック運転手に「Welcome To New York」と言うだけ。
一応、香港に行ったときに、マフィアが口封じにバカスカ人を殺している状況を嘆くジャッキーらに地元警察官が「Welcome To Hong Kong」と言うシーンがあって対にはなっているのですが、回りくどいったらありゃしない(要するに語り口が下手って事です)。
次々アクションが繰り出されるのですが、殺伐にして間抜けという曇天シーンのつるべ打ち(ジャッキー、ストレス溜まっただろうなぁ…)。
誘拐された女を救出するために敵のアジトに乗り込むのですが、侵入して、最初の銃撃シーンが終わると、何故か女を連れて逃げている!?
おいおい、女はどこに囚われていて、誰が見つけて、どうやって救出したんだよ。
わざわざクレーンで宙吊りにされた荷物の真下でホバリングしてタラタラ狙撃の照準を合わせているマフィアのボスって…。
字幕も結構手抜き。香港警察の署長に、行動は慎めよ、と言われた時に、ジャッキーが「慎みは私のミドル・ネームです」みたいな事を言っているのですが、字幕は「分かってます」。
よく聞いていると結構小洒落た台詞を吐いているので、ちゃんと汲み取ってあげれば、少しはスタイリッシュな(?)作品になったかもしれません(すみません、褒めすぎました)。
Gメン75の香港ロケに西部警察が合流した感じでしょうか(駄目だ、まだ褒めすぎだ)。