「映画祭とかに出すと、大抵、中流のご婦人が5~6人、途中退席するんですよ。で、タダでは出ていかないのね。会場の隅にいる自分を見つけて、“あんたは病気よ!”って言って出ていくの。そういう人が出る度に会場がひとつになっていくんですよ」
イーライ・ロス「俺も病気だ!」
ギレルモ・デル・トロ「俺もだ!」
三池「僕たちは病気友達ですね」
高いだけの国内版(4,935円)に比べ、北米版は豪華特典付き2枚組で1,375円! 安い!
「GOZU(極道恐怖大劇場 牛頭/北米版DVD)」(2003年/三池崇史監督)
三池作品の海外版DVDはどれも特典が豊富。特に監督インタビューがディープで作品を紐解く鍵になります。
本作も単独インタビューから、イーライ・ロスとの対談、更にギレルモ・デル・トロ(マイケル・ムーアと見分けがつかん)の乱入と豪華絢爛(?)。
単独インタビューでは、牛頭製作の経緯(曽根晴美の企画持込→普通のヤクザ映画→深作と同じことやっても勝てる訳ないし面白くない→既存のヤクザ映画の概念を全部壊してしまおう→じゃ佐藤佐吉だろ)が語られていて興味津々。
特に佐藤佐吉(牛頭脚本)に対する三池の信頼は絶大で、そんなに買っていたのか、と驚くほど。
“リンチ、クローネンバーグ、ホドロフスキーからの影響”なんて話も。
もうひとつ面白かったのは、“映画的必然性の無視”。
普通はどんな登場人物にも何かを説明する(表現する)という存在意義があるのが映画。でも現実はそうじゃない。別に必然性なんかなくたっていいじゃない。だって人はそこに“居る”んだから、という主張。
これは牛頭の登場人物たちの事であり、三池映画の事であり、三池本人の事でもあります。
『ホラー映画を観て救われたって事はありますね。何だ、好きに生きていいんだっていう』
改めて観直して、大盤振る舞いな配役と物語という概念そのものをうっちゃる破壊力に痺れました。
こういう映画を共有できる人間が一握りしかいないと言うのは悲しいなあ。
「お金はあまりなくても、好きなものを作っていく事を楽しむ自分でいたいと思う」
by三池崇史。
★本編レビューはこちらから。