デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

白人の呪いをかけてやる!スティーブン・キング/痩せゆく男

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「タッタリア・ファミリーをぶっ潰してくるぜ」

マフィアのボスを弁護する父親に娘がマーロン・ブランドの物真似をしてみせる・・個人的に掴みはOK。

で、このマフィアのボス、ジネリを演じるジョー・マンテーニャ(←ゴッドファーザーPartⅢのジョーイ・ザザ)は本作の私的MVPです。

スティーブン・キング/痩せゆく男」(1996年/トム・ホランド監督)

ビリー(ロバート・ジョン・バーク)はマフィアのボスも無罪にしてしまう敏腕&肥満弁護士。

ある夜、運転中に妻がフェラ。天国に行きかけた所でロマ(ジプシー)の老婆を景気良く跳ね飛ばしてノッキン・オン・ヘルズ・ドア。

しかし、友人の警察署長とロマ嫌いの判事抱きこんで無罪放免。

ロマの長レムキ(マイケル・コンステンティン)はビリーの頬に触れ一言。「痩せていく」

以来、日に日にやせ細っていくビリー。食べても食べても体重は減る一方。ロマの呪いか?

ビリーはレムキを追いかけますが、「呪いを解け!」「嫌だぴょーん」で物別れ(この時の「お前らに白人の呪いをかけてやる!」という大見得はグッとくるものがあります)。

ここで、冒頭のマフィアのボス再登場。無罪を勝ち取ってくれたビリーに恩義を感じていたジネリは、マフィアのやり方でロマと“交渉”。

私、こういう一度決めたら一切の躊躇いを捨てて行動する人、大好きなんです(笑)。

妥協無し、手加減無し、情けも無し。

良く考えると、この話って善人がひとりも出てきません。

犯罪者を無罪にして老婆轢き殺しちゃう弁護士、不倫(疑惑)妻、その相手の医者、事故をもみ消した警察、差別主義の判事、事故もみ消し関係者全員に呪いをかけたロマ。

この中にいると、義のために手を汚すマフィアのボスが実に頼もしく男らしく。

想定内意外性も含め予定調和なホラーが、このキャラひとりのために躍動感ある任侠もの(?)に昇華しています。

弁護士ビリーは「ロボコップ3」の中の人、妻ジーナ役のカリ・ウーラーは「ヘルレイザー/ワールド・オブ・ペイン」のヒロイン、監督は「チャイルド・プレイ」撮った人。

香ばしい面子です。

※嗚呼、リチャード・マチスン原作の「縮みゆく人間」(1957年/ジャック・アーノルド監督)が観たい。誰かDVD化してくれぇ!