デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

恐るべし震災後戸梶。 なぎら☆ツイスター

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にしてもこの人の田舎(人・町・因習すべて)に対する悪意はどこから溢れ出てくるのでしょう。

ひと山幾らの激安人生を描かせたらこの人の右に出る者はいません(出たいと思う人もいないでしょうが)。

「なぎら☆ツイスター」(2012年/文春文庫/戸梶圭太著)

“震災後”の北関東。群馬県那木良。

降り注ぐ放射能。潰れた工場。撤退の決まったショッピング・モール。失業者とニートとヤクザと暴走族しかいない町。

もはや原発でも作らない限り夢の中でも明日が来ない町。

そしてやってきた原子力安全開発研究機構の工場誘致。事をスムーズに進めるため、工場側は東京の暴力団・井波興行を経由して地元の暴力団・室田一家に反対運動鎮圧と土地確保を依頼。

話は順調に進むかに見えましたが…。

地主への手付け金1千万円を持って那木良に来た井波組の組員2名が忽然と金ごと消失。

消されたか、バックレたか。真相を探るべく那木良入りした井波興行の桜井が本作の主人公ですが、物語は次々と視点を変えながら時間軸を前後させるジグソーパズル方式(映画「運命じゃない人」と同じパターン)。

実は本作、初版は2001年角川版。今回文春が出したのは、この2001年版を大幅に加筆修正したもの。

最大の変更点は、“震災後”というファクターが主役級の扱いで導入された事でしょう。

工場閉鎖、モール撤退、田畑除染放棄。金も仕事も未来も無いどん詰まりの田舎町の現状が漫画と紙一重のリアルさで迫ってきます。

ヤクザの拷問も傷口に汚染土擦り付けて“セシウム漬け”にするという恐ろしさ。

「この町ではね、人の命はひとり1円なんですよ」

桜井は巨大モールを見た瞬間、「ゾンビ」を思い出す“礼節”をわきまえた男。室田組長(癌)の主治医はレスリー・ニールセン・マニア。

かなり読む人を選ぶ小説(と言うか作家)ですが、内なる衝動を持て余している人には“読むクスリ”になるのではないかと思います。