デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ジオラマで?! H・P・ラヴクラフトの ダニッチ・ホラー

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昨日はラヴクラフト漫画化の高閾値に触れましたが、今日は更にハードルを上げた鬼企画、“ジオラマと人形でラヴクラフト”。

 

「H・P・ラヴクラフトの ダニッチ・ホラー」
(2007年/品川亮監督)


タイトルのダニッチ・ホラーとは昨日ご紹介した「ダンウィッチの怪」の事。

他に「家の中の絵」「フェスティバル」の3篇を各々約15分というタイトな尺でまとめたジオラマ人形劇。

人形劇と言っても、中に手を入れたり、棒で動かしたり、糸で支えたりする類のものではありません(クレイアニメのようなコマ撮りダイナラマでもありません)。

動きは最小限。ほぼ静止した状態のものをカメラワークだけで“魅せて”いきます。

東映はこの手法を“画ニメ”と命名しましたが、やられチョイ役の怪獣みたいでイマイチ華がありません。

オープニングを飾るのは「家の中の絵」

突然の雷雨に打たれた旅人が、目の前の家に逃げ込むと…。

古い希少本の挿絵を巡る老人(声:ミッキー・カーチス)と旅人の暗示的掛け合い。目の表情と視線以外、動きらしい動きはほとんどないにも係らず、嫌ぁな緊張が漲っています。

「ダニッチ・ホラー」はアーミテイジ教授のモノローグに導かれて、時に漫画より饒舌に事物の関係性を説明してくれる、非常に分かりやすい仕上がり(声の担当は遠藤憲一)。

ラストの「フェスティバル」は原作のオチの部分をバッサリ切り落としているので(江戸川乱歩の「人間椅子」のラスト1行を取っちゃったようなもの)、全く別の話になっていますが、逆に気の触れた感は満点で正に悪夢。

東映は本作に続く画ニメ作品を何本かリリースしているようですが、まるで話題にならなかったのがちょっと悲しいですね。

いずれ本作も「家の中の絵」のコンゴや、「ダニッチ・ホラー」「フェスティバル」のネクロノミコンのような希少本(希少DVD?)に・・なるわけないか。