『近道を教わったんだ。1時間は短縮できるぞ』
『ホラー映画の始まりみたいな展開だが大丈夫か?』
勿論、大丈夫じゃありません。
「ハゲタカゾンビ 感染注射」
(2007年/ロバート・カーツマン監督)
西側社会に鉄槌を喰らわせるために、森の中の研究所(どう見ても廃屋かプレハブ小屋)で日夜ウィルスとワクチンの研究(人体実験)に勤しむマッドな博士。
博士の開発したレイジ・ウィルスに感染すると骨が異常発達(マタンゴみたいな顔になる)、ゾンビ化して暴れん坊将軍に。
ある日、被験者が博士に襲い掛かって脱走。
森の中ではスリップノットもどきの野外ライヴとクスリをキメて性別不問のフリー・セックスに励む若者たちが。
正に“入れ喰い”なシチュエーション。しかし、ゾンビくんはカップル1組襲っただけでばったりぽっくり。
なんじゃそりゃ?と思ったら、上空を旋回中のハゲタカが、ぱたぱたと舞い降りてきてスペシャル・メニューに舌鼓。
感染ゾンビを喰ったハゲタカはハゲタカゾンビにメタモルファーゼ。近所の川に釣に来ていた女の子(子供だよ)をささらもさらにして、引率の叔父さんに毒ゲロ一閃。
叔父さんは一緒に連れてきていた男の子(子供だよ)をフルスイングで撲殺して近親食事…している所をフリー・セックス若者ワゴンに景気良く轢かれて昇天…せずに大暴れ。
更に空からハゲタカゾンビ。おおっと、ゾンビ版「鳥」か、と思ったら、逃げ込んだ先がマッド博士の研究所でふりだしに戻る。
無名な役者しか出ていないホラーの良い点は、誰に死亡フラグが立つかの予測が難しい所。
ほとんどの設定、シーンがその場限りの投げっぱなしジャーマンで、伏線って何?状態なのも先が読めない要因です(←誉めてません)。
ゴアシーンには力が入っているのに、運転中の景色はあからさまにスクリーン・プロセスというのも突っ込んでいいのか悪いのか。
展開は速いくせに、話は(広がりそうで)一向に広がらず、全てのエピにオチがない。にも関わらず、何故かそこそこ面白い。
ある意味、B級ホラーの王道を行く作品です。