『何故私にだけ知らせてくれなかったんです?! 私だって…私だって…』
小暮課長(石原裕次郎)はじめ大門軍団全員の警察手帳を自分の机の引き出しに発見した佐川勘一捜査係長(高城淳一)。
捜査権を剥奪された署員全員が職を辞する覚悟でテロリスト藤崎(原田芳雄)の逮捕に向かった。ただひとり自分だけを蚊帳の外に置いて…。
最終回らしい豪華なゲストとヤケを起こしたとしか思えない大爆発。フィナーレを飾るに相応しいド派手な演出が目を引きますが、私はこの係長の慟哭こそ、一番の見せ場だったような気がします。
「西部警察PartⅢ最終回/大門死す!男達よ永遠に…」(1984年10月22日放送/小澤啓一監督)
オープニングはいきなりパリ。似合わないにも程がある私服の大門とパリの町並み。
国際刑事警察機構のシンポジウムに参加という設定ですが、怪しさ満開。ここで国際テロリストの首領、ガストン・レグレスの逮捕(ちゅうか射殺)に遭遇。
空席となった首領の座を狙うはナンバー2テロリスト、藤崎礼二。
日本に舞い戻った藤崎は、首領に相応しい実績と金を同時に手に入れる大勝負に。
まあ、後はいつもの通り。北海道でドカーン、福岡でバコーン、静岡でズキューン、そして博多沖(ロケは瀬戸内)でちゅどどどどーん!
藤崎一派は人質を盾にテレビ局を占拠し、同時にバスを乗っ取るダブル・ハイジャックで身代金2,000万ドルと逃走ルートを要求。
上層部から事件への介入を全面禁止された大門軍団は、輸送中の身代金を強奪する強硬手段で藤崎に揺さぶりをかけますが…。
藤崎一味のアジトが博多湾沖の無人島・剣島にあることを知った大門軍団は海上へ…ってちょっと待てい!
君ら地の利の無い福岡で現金輸送車襲撃して指名手配されたんだろ? どうやって港まで辿り着いたんだ? 検問はひとつもなかったのか? 港は封鎖されていなかったのか?
その島に乗り付けるのに使ったゴムボートはどこで調達したんだ? 相手が海上にいる事を予想して東京から持ってきたのか? それとも強奪した身代金で買ったのか?
いつもながらの手際良さ。“いいじゃねぇか、んな事ぁ。それより早く爆発爆発ぅ!”なスタッフの心意気が伝わってきます(昨日ご紹介したジェームズ・グリッケンハウス監督に一脈通じるものがあるような…)。
最早二度と作れない男のドラマ。返す返す惜しいコンテンツを失くしたものです。