殺人現場(特に屋内)が“えらいこっちゃ!”になっているのは、映画やテレビの刑事ドラマでお馴染みの光景。
犯罪に限らず、発見の遅れた孤独死など“ああ、人ってタンパク質で出来ているのね”と実感させてくれる現場は多々ありそうですが、検分後の後始末は誰がやっているのでしょう?
答えは民間の専門業者。清掃屋さんです。
日本だと「遺品整理人は見た~天国へのお引越しのお手伝い」(吉田太一著)のような“ちょっといい話”になっちゃいますが、アメリカだとそうは行きません。
ましてや清掃人がサミュエル・L・ジャクソンとなれば、犯罪に巻き込まれない訳には参りません。
「ザ・クリーナー 消された殺人」
(2007年/レニー・ハーリン監督)
元警官のトム(サミュエル)は、普通の人ならちょっと触る勇気の無いあれやこれやを綺麗に片付けてくれる必殺清掃人。
今日も血飛沫肉片飛び散った殺人現場を綺麗にお掃除。
ああ、疲れた。ん、何だこの鍵? いけねぇ現場の合鍵返してねえや。明日返しに行こう。
『(♪ピンポーン)どーもー、掃除の時お借りした合鍵返しに来ました』
『あんた誰? 掃除って何?』
テレビでは、その家の主人、実業家であり、とある事件の証言予定者でもあるジョン・ノーカットの失踪を賑やかに伝え…。
やっべえ、どうやら俺は殺人の証拠隠滅に利用されたようだ。奴が証言するはずの事件は警察内部の収賄疑獄…って事は相談する相手を間違えると、次に清掃されるのは俺…。
やばい、やばいでぇ。
とは言え、主役はサミュエルです。やさしげに近づいてくる昔の相棒がエド・ハリスです。
もう、この時点でサスペンスなど生まれる訳がありません(笑)。ミステリー・ファンにとっては喰い足りないにも程がある展開でしょうが、特に謎解きに興味が無く、ハラハラドキドキが苦手という私のような変わり者にとっては、取っ付きやすい内容でした。
尺も90分とタイト(正にCMカットした2時間サスペンス)。
ハーリン作品としては珍しく爆発が無い小品設計。実は正義と無縁のハッピーエンドというのも異色と言えば異色。意外な一面を見る思いです。
因みに清掃人の過酷&熾烈な現場業務は“特殊清掃「戦う男たち」”というブログに詳しく紹介されています。興味のある方はどうぞ。→http://blog.goo.ne.jp/clean110