『この星の命も午前零時で終りです』
『君も死ぬのか?』
『私は仲間が迎えに来てくれるわ』
(マゼラン星からの信号テープを渡すダン)
『迎えは来ない。君ははじめから見捨てられていたんだ』
『・・・』
『この星で生きよう。この星で一緒に』
数あるエピソードの中でも「超兵器R1号」「ノンマルトの使者」と並ぶマイ・フェイバリットな1本です。
「ウルトラセブン/第37話・盗まれたウルトラアイ」
(1968年6月18日放送/鈴木俊継監督)
“ウルトラアイ”を盗まれたダン。
犯人はマゼラン星人の少女マヤ。
アングラバーで踊り続けるマヤにテレパシーで話しかけるダン。
『ウルトラアイを何故盗った?』
『それが私の使命だから』
『地球を侵略するつもりなのか?』
『こんな狂った星を? 見てご覧なさい、こんな星。侵略する価値があると思って?』
マゼラン星に向かって迎えの要請を繰り返し打電するマヤ。しかし故郷からの返答は
「恒星間弾道弾、既に発射せり。迎えに及ぶ時間なく…」
たった一人で見知らぬ惑星に送り込まれ、難易度HARDな密命を背負わされた挙句に使い捨て。清楚な少女姿が一層の哀れを誘います。
黙ってウルトラアイを返すマヤ。そして、ジュークボックスの暗号キーを押すと白煙が噴出し…。
自殺プログラムの発動キーは“J7”。この時、キー配列がHJKとなっていることから、「I(愛)」がない、という素晴らしい演出だ、と言われる事が多いようですが、これは間違い。
ジュークボックスには元々「I」のキーがありません。理由は簡単。数字の「1」との混同を避けるため。
写真下は、ジュークボックスを模したクッキージャーですが、やはりHの隣はJです。
まあ、Iの無いジュークボックスの仕様を逆手に取った、という可能性はありますが、この為にIの無いキー配列のジュークボックスを作った訳ではなさそうです。
ダンが戻ってきた時、マヤはブローチひとつを残して跡形もなく消えていました。
『何故、他の星でも生きようとしなかったんだ。僕だって同じ宇宙人じゃないか』
実は、怪獣の着ぐるみを作る予算がなかった、という大人の事情があったようなのですが、災い転じて大福星。市川森一は素晴らしい仕事をしたと思います。