デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

迎えは来ない。 ウルトラセブン/盗まれたウルトラアイ

イメージ 1
『この星の命も午前零時で終りです』
『君も死ぬのか?』
『私は仲間が迎えに来てくれるわ』
(マゼラン星からの信号テープを渡すダン)
『迎えは来ない。君ははじめから見捨てられていたんだ』
『・・・』
『この星で生きよう。この星で一緒に』

数あるエピソードの中でも「超兵器R1号」「ノンマルトの使者」と並ぶマイ・フェイバリットな1本です。

ウルトラセブン/第37話・盗まれたウルトラアイ」

(1968年6月18日放送/鈴木俊継監督)


ウルトラアイを盗まれたダン。

犯人はマゼラン星人の少女マヤ。

アングラバーで踊り続けるマヤにテレパシーで話しかけるダン。

『ウルトラアイを何故盗った?』
『それが私の使命だから』
『地球を侵略するつもりなのか?』
『こんな狂った星を? 見てご覧なさい、こんな星。侵略する価値があると思って?』

マゼラン星に向かって迎えの要請を繰り返し打電するマヤ。しかし故郷からの返答は

「恒星間弾道弾、既に発射せり。迎えに及ぶ時間なく…」

たった一人で見知らぬ惑星に送り込まれ、難易度HARDな密命を背負わされた挙句に使い捨て。清楚な少女姿が一層の哀れを誘います。

黙ってウルトラアイを返すマヤ。そして、ジュークボックスの暗号キーを押すと白煙が噴出し…。

自殺プログラムの発動キーは“J7”。この時、キー配列がHJKとなっていることから、「I(愛)」がない、という素晴らしい演出だ、と言われる事が多いようですが、これは間違い。

ジュークボックスには元々「I」のキーがありません。理由は簡単。数字の「1」との混同を避けるため。

写真下は、ジュークボックスを模したクッキージャーですが、やはりHの隣はJです。

まあ、Iの無いジュークボックスの仕様を逆手に取った、という可能性はありますが、この為にIの無いキー配列のジュークボックスを作った訳ではなさそうです。

ダンが戻ってきた時、マヤはブローチひとつを残して跡形もなく消えていました。

『何故、他の星でも生きようとしなかったんだ。僕だって同じ宇宙人じゃないか』

実は、怪獣の着ぐるみを作る予算がなかった、という大人の事情があったようなのですが、災い転じて大福星。市川森一は素晴らしい仕事をしたと思います。