本作と「野獣死すべし」。真逆の方向に振り切れた2本立て。
「となりのトトロ」×「ほたるの墓」に匹敵するコンビネーションではないでしょうか。
「ニッポン警視庁の恥と言われた二人組 刑事(デカ)珍道中」(1980年/斉藤光正監督)
斑島(まだらじま)刑事(中村雅俊)と樺屋(かばや)刑事(勝野洋)は、互いに足を引っ張り合う似たもの同士。
今日も犯人を逃がした挙句に互いに手錠を掛け合ってダンシングIN横浜。
怒り心頭の花田課長(金子信雄)は、二人に銀行強盗模擬訓練の犯人役を任命。
ノリノリで現金を強奪したものの途中で何者かに現金を横取りされる大失態(何故かジュラルミンケースの中は訓練用新聞紙札ではなくピカピカの現ナマ1億2千万円)。
互いに罵り合いながら真犯人探索に乗り出した二人でしたが…。
ベタに滑りまくるギャグ満載(脚本:鎌田敏夫)の脱力コメディ。
松田優作の共演者(俺たちの勲章)と後任者(太陽にほえろ)による刑事ドラマという見方もできますが、これは間違いなく「俺たちの旅」「俺たちの朝」のパラレルワールド。
カースケとオッス、夢の共演です(共演、森川正太ですしね)。
現金横取りの犯人探しが縦軸ではありますが、本作のテーマは勝野洋の“下半身トラウマ解消物語”です。
大菩薩・大楠道代によって解き放たれる抑圧された男の自我。当時の製作者が女性客のことなんかビタ一文考慮していなかった事がよく分かります(笑)。
刑事コメディを作ることは現代でも可能ですが、こういうリビドーの開放を伴う真の青春映画を作るのは難しいでしょうねえ。
水着姿の木の葉のこに抱きつかれる儲け役で角川春樹が(製作者特権だな)。