デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

その謎の習字幕は何だ? スキャナーズ2

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1作目から捨て置かれる事9年。

一応、地平は繋がっていますが、クローネンバーグの姿無し。エンターテイメント路線に軌道修正された全くの別物です。

スキャナーズ2」

(1990年/クリスチャン・デュゲイ監督)


まず、浮浪者スキャナーがゲーセンをささらもさらにする冒頭シーンでドン引き。

後々主人公と対立する悪玉スキャナーになる重要人物ですが、顔が悪すぎ。

どう見てもただのエテ公。ビーストな感じを出したかったのかもしれませんが、兎に角頭が悪そうで、マイケル・アイアンサイドのポジションを担うには知性も迫力も個性も不足。

対する主役も特徴のないフツーのお兄ちゃんで、スキャナーの悲哀を表現するには深みが足りません。

後半になって、隠遁生活を送っている主人公の姉としてデボラ・ラフィンが登場して、ようやっと映画らしい締り具合を見せ始めます。

お話は、スキャナーを悪用して新しい治安体制を築こうとする警部の野望・・うーん、何で警部風情にそんな(金と手間がかかる)組織犯罪が出来るんだ? という疑問が終始ついて回りますが、脚本のアラに目をつむれば、そこそこ楽しめる出来にはなっています。

特に単なるテレキネシスではなく“スキャン”を意識しているのは高評価。

相手の眼の裏側に回りこんで視覚を乗っ取るというのは、「攻殻機動隊(SAC)」の盗視覚デバイス“インターセプター”の超能力版。

本作で最も気になったのは、主人公(獣医の卵)と恋人の初デート。地下の変なBARの入口近くにお習字の作品が何枚も垂れ幕のように。

何が書いてあるのかと思えば、黒沢明」「今村昌平」「柳町光男」「本多猪四郎」「羽仁進」…。

邦画好きなのか、キリスチャン・デュゲイ?