オリジナルの脚本書いたルイス・ジョン・カリーノ(マフィアみたいな名前だな)が、原案だけでなく脚本にもクレジットされているので、ちょいと拳を振り上げにくいのですが、極めてフツーな、特徴の無い、味わいに欠けるアクション映画になってしまいました。
「メカニック」(2011年/サイモン・ウェスト監督)
お話の大筋はオリジナルを踏襲しているので設定その他は昨日のレビューをご参照ください。以下、変更箇所について詳解。
オリジナル版は、細かい作業の積み重ねが1発の銃弾によって結実する仕掛けを台詞無しで描ききった冒頭が素晴らしかったのですが、今回はここがまず大味。
仕事終了と同時にジェームズ・ボンドのテーマでも流れてくればピッタリだったかもしれませんが、こんなマンガチックな描写でプロの仕事言われてもちょっと…。
何より驚いた(というか落胆した)のはオリジナルでジャン=マイケル・ビンセントが演じたスティーブ役のベン・フォスターが登場した瞬間。
“…ゲイかよ!?”
ベン・フォスター本人がゲイかどうかは問題ではありません。ゲイのように見える風采というのが(私にとっては)大問題。
で、最初の仕事がゲイを装ってターゲット(当然ゲイ)に近づき、油断させて暗殺…って、そのまんまやないかい。
オリジナルでビショップがスティーブを相棒にしたのは、父の死にも動じず、ガールフレンドが自殺するのも黙って見物している冷徹な意思に“メカニックの資質”を見出したからだったはず。
しかし今回はそんな描写は無し。父を殺された復讐心に流されるは、初仕事はトチるは散々。
二代目ビショップ(忘れていましたが主役はジェイソン・ステイサムです)が、何故こいつを相棒にしたのかさっぱり分かりません。
また、オリジナル後半は、組織がビショップに大仕事を依頼した裏で、スティーブにビショップ暗殺を指示していた(ビショップもその事を察知している)という虚虚実実の駆け引きが面白かったのですが、今回はその設定すらまるっと割愛。
スティーブの父・ハリー(ドナルド・サザーランド←組織を売った裏切り者としてビショップが処理)暗殺依頼が組織の茶番だったってのが新機軸なのですが、底の浅いどんでん返しです。
暇つぶしのアクション映画としては十分及第点だと思いますが、観終わった瞬間、スカっと全部忘れてビタ一文記憶に残りません。
何より毛が足りないよ、毛が。ハゲマッチョとイガグリ坊主じゃ艶がないだろ、艶が。
★オリジナルのご紹介はこちら。
■NEWS
最早国内公開はないだろうと思われていた「影が行く」前日譚は、「遊星からの物体X ファーストコンタクト」というセンスがあるんだか無いんだかやっぱり無いんだか良く分からない邦題で8月4日公開になった模様(とりあえず目出度い)。
※詳細はこちら→http://buttai-x.jp/