デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

送る悪夢、受ける幻覚。 ザ・センダー/恐怖の幻想人間

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自分の悪夢を他人に送りつける送信者(センダー)。

その悪夢を受けて覚醒中にも関わらず幻覚の中に放り込まれる受信者。

サイコキネシスのような物理的現象が、映画に於ける超能力描写の定番ですが、本作は悪夢の送受信という画期的な(それ故、後に続く者がなかった)映像イメージを魅せてくれます。

 

「ザ・センダー/恐怖の幻想人間」

(1982年/ロジャー・クリスチャン監督)


自殺未遂で州立精神病院に担ぎ込まれた青年(セルジコ・アイバネク)。

記憶を無くした彼の治療に当たる女精神科医ゲイル(キャスリン・ハロルド)は、自宅を徘徊する青年の姿を目撃します。

しかし、青年は病院から出た形跡無し。やがて、様々な白昼夢が彼女を襲い…。

ゲイルの反対を押し切って院長が青年に電気ショック療法を施した瞬間、青年の痛みと恐怖が病院中に伝播して大混乱になるシーンが素晴らしい。

人が飛び、宙に浮き、ガラスをぶち破り、ある者は首が切断され、ある者はベトナムの戦場に放り込まれる…。

が、全ては幻覚なので、青年が落ち着けば、全ては元の鞘、というのも実に斬新。

監督は、『スター・ウォーズ』に装置監督として参加、アカデミー美術賞を受賞しています。

反面、2000年には『バトルフィールド・アース』で、ラジー賞(最低監督賞)を受賞するというお茶目な横顔も。

派手なシーンは少ないですが、しっとりとした映像とトレヴァー・ジョーンズによる美しい音楽が相まって、異色の超能力映画になっています。