『酒はもう長いこと飲んでいないが今日はビールをもらうよ』
『何にする?』
『ミラーをもらおうか』
日本でビールというとジョッキで生、あるいは瓶ビールをグラスに注いで、という形が多いですが、外国映画のバーのシーンを観ていると瓶ビールをラッパ飲みというシチュエーションが多いですね。
これがまた実に美味そうで。
ちっこいグラスに注いで飲む様が不躾に思えるほどです。
で、実際に瓶ビールでラッパ飲みしてみると本当に美味しかったりするのですよ。ぬるくなっても味わいがあるというか。
瓶ビールで印象深い映画といえば、
(1999年/デヴィッド・リンチ監督)
主人公アルヴィン・ストレイトの話であると同時に、文字通り“真っ直ぐな”物語。
10年前に理由も忘れてしまった大喧嘩の末、音信不通になっていた兄。その兄が病気で倒れた。
会いに行こうと決意をしたものの、歳で視力が弱り腰も悪い。
車の運転はできないが、誰かの手を借りるのは嫌だ。
唯一、自分で運転できる乗り物は時速4kmのトラクター。様々な人との出会い、別れ。
『歳をとって良いと思うのは細かいことを気にしなくなる事だ』
『最悪なのは?』
『若い時を思い出す事だ』
長旅の末、たどり着いた兄の自宅近所のバーで、ようやく禁を解いて飲むビール。
勿論バーテンダーは瓶の栓を抜いて渡すだけですが、美味しくないわけがないですよね(監督デヴィッド・リンチというのが未だに信じられません)。
※写真3枚目は旅の途中で知り合った爺さんとバーに行った時のもの。まだ禁酒中なので、アルヴィンが飲んでいるのはミルクです。