『国のためなんて言われてもさ。この国(ヤマタイ国)なんかまだ具体的で分かりやすいけど、あっちの国(日本)はどうも…』
『な、そうだろ? 昔の国のためも分かんねえし、今の国のためも分かんねえよ』
『本当は若い人のために…いいや、やめておこう。押し付けがましい』
恒例、シリーズ8月15日。今年選んだのは、
独立非行少年・次郎(利重剛)が留置所で偶然知り合った無銭飲食の老人軍団。
彼らは独立国・ヤマタイ国の閣僚を自認する独立非行老人たち。
総理大臣(小沢栄太郎)はじめ、陸軍大臣(田中邦衛)、文部大臣(殿山泰司)、内閣書記官長(岸田森)などなど。
次郎はヤマタイ国不法侵入で死刑になりかけますが、ヤマタイ国に亡命・帰化、労働大臣を拝命することに…。
81年当時、日本は右傾化の兆しが見え隠れし、最後の戦中派・岡本喜八としては何か物申さずにはいられなかったようです。
「日本国発行のものは思い切って一昨日全部破いた。税金の督促状、バスの無料パス、養老年金証書、婦人警官…」
「婦人警官?!」
「…募集のポスター。もし、徴兵令状が来ても破いちまおう」
「お前らみたいな年寄りに赤紙来るわけねーじゃないか!」
「分かんねえよ、近頃のニッポンは…」
もし、独立愚連隊のあいつらが、肉弾のあいつらが死なないで生き残って、現在の日本を見ていたらどう思うだろう。そんな想いが製作の原点だったとか。
制作費1,600万円(喜八プロとATGで折半)。製作日数19日。主な役者のギャラは20万円通し。
ほとんどの人が二つ返事で「いいよいいよ、ギャラなんか。頑張っていいもの作ろう」と言ってくれたんだとか(監督のお人柄が偲ばれますな)。
痛快で物悲しい熱血老人賛歌です。
とここまで書いておいて何ですが、今の日本の取り舵傾向(主に売国政党と某国の手先と化した広告屋とテレビ屋と日教組と公明党の支持母体に起因する)を見るにつけ、もういっその事面舵一杯な状況になってもいいのではないか、いやむしろそっちに行って欲しいと思ってしまう今日この頃です(岡本監督、ごめんなさい)。
※参考:
「日本のいちばん長い日」→2008年8月15日
「俺たちは人間じゃない、部品なんだ! 人間魚雷回天」→2009年8月15日
「馬鹿野郎!馬鹿野郎!馬鹿野郎! 肉弾」→2010年8月15日
「勝つ戦争ならやってもいいのか! 激動の昭和史 軍閥」→2011年8月15日