『わたくしの事を殺人鬼と申しますが、国家はそれを推奨しているではありませんか。大量殺人を唯一の目的にした破壊兵器を作っているではありませんか。一人殺せば殺人罪で百万人殺せば英雄ですか? 国家に比べればわたくしなぞアマチュアにすぎませんよ』
複数シーンの台詞をまとめてしまいましたが、チャップリンをオールド・ファッションと切り捨てられない理由は、こういう台詞をぺろっと出してしまう辺りにありそうです。
「チャップリンの殺人狂時代」
(1947年/チャールズ・チャップリン監督)
妻子を養うための生活費欲しさに、金持ちの未亡人と次々と結婚しては殺し、財産をせしめていくという、シリアル・キラーをチャップリンが演じております(しかもコメディってところが凄いじゃあございませんか)。
重婚・殺人・遺産搾取の憎むべき凶悪犯として、死刑となるチャップリンですが、死刑場に赴く直前、執行官から一杯の酒を勧められます。
『何ですか、これは』
『ラムだ』
『結構…いや、やっぱり頂きます。
ラムは飲んだことがないんです』
ラムはサトウキビを原料にして作られる東インド諸島原産の蒸留酒。
悪名高き三角貿易によって発達した、奴隷市場と不可分一体のお酒です。
このラストのチャップリンと執行官の会話は、色々と深読みされるシーンですが、ま、ラムは飲んどけって事でしょう。
ついでといっては何ですが、お酒の度数に関するお話を。
お酒の強い弱いは度数で決まりますよね。これは、15度の温度で原容量を100とした時に、その中に含まれるエチルアルコールの容量を言います。
いわゆる容量方式で、日本やECの表示方法です。では英米は?
英米は重量方式を採用しています。ボトルにある○○プルーフ(proof)という表示がそれ。
度数換算はとっても簡単。えいや、と半分に割ればOK。
80proofと書いてあれば、それは40度のお酒です。
という目でボトルを眺めていくと、たまにとんでもない数字を見つける事があります。
バカルディ151。151とは151プルーフの事。つまり75.5度。
燃えますねえ。
他にも、レモン・ハート・デメララ151なんてのも。
バカルディもレモン・ハートもラム酒のブランドです。侮れません、ラム。