デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

突っ込みの玉手箱。 死亡の塔[Blu-ray]

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既に御紹介済みですが、Blu-rayを観たので再レビュー(お話に関しては2009年8月1日のブログをご参照ください)。

ブルース・リー/死亡の塔」
(1980年/ウー・スー・ユエン監督)


本作の素晴らしい所は以下の2点。

其の壱:ブルース・リーが出ているかどうかはさておき、カンフー映画として水準以上の仕上がりになっている。

其の弐:カンフー・シーン以外は途方に暮れるくらい滅茶苦茶。

今回は“其の弐”の方を中心に。

まずはタイトル。ジャケットにも得意げに「TOWER OF DEATH」と書かれていますが、本編のタイトルは「GAME OF DEATH Ⅱ」。「死亡遊戯」の続編という体ですね。

元々モノラルだった音声を7.1ch化! 効果ほとんど無し!(境内の鳥の声だけがやたら立体的でリアル)。

ようし、ブルース・リーが映っているフィルム、全部持って来い!な編集(そっくりさんと混ぜ混ぜ)をしているので、シーンごと、カットごとに背景が違う、色味が違う、服が違う、髪型が違う、そして、あからさまに人が違う

Blu-rayの高画質が災いして、カットが全く繋がっておりません。

リー(役名ビリー・ロー。「死亡遊戯」と同一キャラ)の友人チン・クー(ウォン・チェン・リー)が謎の突然死。さっき会ったばかりに見える編集なのに死んだ場所は日本。

日本には銀座でクラブ歌手をやっている養女がいるらしい。ネオン街をカンフー着で歩くアイデンティティの確立した男、リー。

でも、そこはどう見ても銀座じゃないぞ(多分新宿・歌舞伎町)。

お葬式は芝大門増上寺坊主のお経を木魚の音だけ残して得体の知れない呪文に差し替え。

でっかく「卍」と刻まれた棺を謎のヘリがUFOキャッチャーの要領で強奪。

これを追いかけたリーは、ヘリにしがみついたものの、搭乗者から毒針のようなものを喰らって墜落死。出番おしまい。合掌。

主役を弟ボビー・ロー(タン・ロン)が引き継いで来日。こいつが怪しそうだ、と睨んだ西洋人の道場(寺)へ一人で正面から「こんにちは!」

寺の入口にはでっかく「金井山梵魚寺」の看板。そこ釜山じゃねぇのか?

道場主ルイスは、ビリーを歓待。敷地内を案内します。

ルイスが合図をすると山の上から何羽もの孔雀がフライング・ハイ。

『訓練して飛べるようにしたんだ』って、お前それ孔雀の飛行ショーだろ。千葉の行川アイランドとかじゃないのか。

更に金網のついた車で境内を走ると、放し飼いにされたライオンが…ってそこサファリ・パークだろ!

夜になると寝室にライオンの着ぐるみを着た刺客がガオー!

いや、撮っている方は本物のライオンに襲われたシーンを演出しているつもりなんでしょうが、どう見ても着ぐるみ。百歩譲っても着ぐるみ。片目つぶっても着ぐるみです。

クライマックスは地底に向かって建造された塔…(うーん、気持ちは分かるけど、それは単なる地下施設であって塔じゃないよな)…の内部で最終決戦。

もう、自分が見ているのが「死亡の塔」なのか「直撃地獄拳!大逆転!」なのか判然としないファイティング・ハイ状態。

正直、一連のリー作品の中でもイチオシ(信じるなよ)と言って過言ではない逸品です。

 

★前回レビューはこちら。