デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

怪奇に回帰。 パキスタン・ゾンビ

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看板に偽りありまくりですが、メインストリームに背を向けて、70年代以前の怪奇映画をリスペクトしまくった所が好感度大。

パキスタン・ゾンビ」(2006年/オマー・カーン監督)

パキスタン初のゾンビ(も出てくる)映画。

買い付けたキングレコードが「ネズミ・ゾンビ」「ギリシャ・ゾンビ」に続けて発売する関係で、こんなタイトルになってしまいましたが、ゾンビは味付け程度。

“本業:アイスクリーム屋経営”のオマー監督が、自分の好きなものを見境無く詰め込んだパキスタン・カオス・ホラーです。

ワゴン車でロックコンサート会場を目指す男女5人(貧富の差大)。

田舎道。警告を発する道端の店の親父(←凄くいい感じ)、林道、近道、ガス欠…。

高速道路が出来て取り残された集落。廃液を流し続ける工場。お約束のさわち料理(笑)。

最初は、河川汚染が原因で住民がゾンビ化したエリアに迷い込んだ若者の受難話かと思いましたが、廃工場の中からトゲトゲ付き鉄球を振り回す殺人鬼が走り出て来て事態は一変。

悪魔のいけにえ」ベースに「死霊のはらわた」、「サランドラ」、フルチ系ゾンビを撒き散らした混沌祭り。

ブルカ(イスラム教徒の女性が肌を晒さないように被るヴェール)を纏った殺人鬼のビジュアルは強烈。レザーフェイスの向こうを張れる傑作キャラ。

カメラのピンを手前に固定しておいて、アウトフォーカスで近づいてきた殺人鬼がカメラ直前でインフォーカスする(しかもスローで)カットは幻想的。

若者の部屋に「マニアック」のポスターがあったり、音楽の使い方が(故意か偶然か)タラっぽかったり、場面転換にコミック調イラストを挟んだりと、本当に好きなもの全部ぶちこみましたって直球ストレートど真ん中な感じが心地良い異文化ホラーです。