何となく呼び捨てにし辛いので、小さく“さん”づけにしてみましたが、うーむ、やはり押井実写にアタリ無しのジンクスは今回も健在でした。
「アサルトガールズ」(2009年/押井守監督)
70分という時間が長い長い。20分あれば余裕で終わる内容を薄める水増す引き伸ばす。
一応、「アヴァロン」と地続きの世界で、次世代ゲーム「アヴァロン(f)」をプレイする女3人男1人の100%バーチャル・ワールド・ストーリー(つまり全部嘘っぱちってこった)。
内容なんてありません。
同じステージをシングルで流しているプレイヤー4人が、ボスキャラ倒してステージクリアするためにパーティを組む、ただそれだけです。
主演は黒木メイサですが、お話に輪をかけて中身の無い見てくれキャラ。
佐伯日菜子に至っては顔も覚えられない背景キャラ(4人しかいないのに!)
唯一、菊地凛子だけは、踊ってばかりいる前衛舞台演技で浮きまくり、記憶に残るキャラになっています。
まさか、ここで「チャップリンの独裁者」をやられるとは思いませんでしたが、コケティシュな可愛さがちょっとツボではありました。
余談ですが、菊地凛子のオフショットとか見ると、オセロの中島と松嶋をバランス良く配合した顔立ちなんですね(って事は俺はオセロが好きなのか?)。
この菊地と藤木義勝のコメディ・リリーフで僅かに救われてはいますが、総合的には焼け石に水。
大体、プレイヤー=リアルな人間ではないので、キャラも糞もないのですよ。
オープニングでこの作品の世界観を説明するナレーションが延々7分続きます。
押井の妄想に付き合うだけでも面倒なのに、このナレが英語なものだから、ずっと字幕を読み続けないといけません(難行苦行)。
このナレ中に、いかにも「僕たちオタクでーす。彼女って何ですかぁ?」な野郎の顔写真が4枚挿入されます。
エンド・クレジットでは「ニート」という役名ですが、実はこいつらがプレイヤーかもしれない、という含みをもたせています。
つまり、劇中の女は全員ネカマかもしれないよって事です。
このユーモアを超えた悪意に痺れたのが、本作鑑賞の唯一の収穫でした。
押井さん、頼むからもう実写は撮らないで…。