赦しを乞う男と女。 ラン・オブ・ザ・デッド
ゾンビ(系)映画は、グロ描写のみに着目されがちですが、しっかりとキャラを描きこめば人間ドラマとしても十分成立します。
鏑矢である「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の「28日後」型リメイク、と言ったら褒めすぎでしょうか(うん、褒めすぎだな)。
「ラン・オブ・ザ・デッド」(2010年/マーク・マックィーン監督)
原題は“Devil’s Playground”。
巨大製薬会社ニューゲンが発表した画期的栄養剤RAK295.
しかし、発売前に3万人の被験者を相手に臨床実験をしたところ、2万9,999に深刻過ぎる副作用が発症。
過剰なるドーピングで身体能力が飛躍的に向上したパルクール・ゾンビとなった被験者はロンドン中を駆け巡り、更なる感染者を増殖させてゾンビ祭り。
唯一確認のとれていない被験者アンジェラは無事なのか? 未発症だとしたら抗体を持っている可能性が。
製薬会社社長のお抱え傭兵としてダーティ・ワークを手がけてきた警備員、麻薬中毒の少年を撃ち殺してしまった事で世間の非難に晒されている水上警察官、夫の無実を信じきれず人生やり直しの資金集めにと新薬の被験者となった妻アンジェラ、アンジェラが被験者であった事を知り疑心暗鬼に駆られる友人、そして、他人を出し抜いてでも自分だけ助かりたいと願うカップル。
ドラマ部分はロンドン市内を“Playground”にした「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」。
大きく違うのは、相手が「28日後」型全力疾走系(しかも運動神経抜群な)感染者である事。
感染者に有効な武器が拳銃よりもトンカチという所が嫌々なリアリズム。
汚れた仕事、不信、裏切り…贖罪の代償はでかいなあ。