“怪獣”という概念は日本独自のもので、アメリカには恐竜か巨大化生物(大蜘蛛、大蟻)という発想しか無いようなイメージがありましたが、間違った思い込みだったようです。
むしろ逆に日本の怪獣映画(ドラマ)に影響を与えているものも多々あるようで。
本作もそんな1本ではないかと。
「大怪獣出現[世界最強怪獣メギラ登場]」(1960年/アーノルド・レイヴェン監督)
公開時、43分の短縮版(「サンダーバード6号」と二本立て)だった「大怪獣メギラ」の完全版です。
南カリフォルニア。砂漠の真ん中に現われる400平方マイルの塩湖、ソルトン湖。
その傍に建造された海軍研究基地では日夜トップ・シークレットの原子力実験が。
地震で湖底の裂け目から現われた太古の卵が放射能で突然変異して怪物化、という鉄板プロット。
舞台はほぼこのソルトン湖(及び水路)と海軍研究基地のみ。
DVDにつけられた“世界最強怪獣”というサブタイトルから、“カリフォルニアの街並みを蹂躙する巨大怪獣と海軍の攻防戦”とかを期待するとちいっと(いやかなり)肩透かしを喰う事になりますが、怪奇な雰囲気は良く出ています。
怪獣頭部のデザインは「ウルトラマン」のキーラそっくり。
因みにメギラという命名シーンはありません。誰かが勝手につけた仮名のようです。
全身像を映すカットはないのですが、科学者の説明からカタツムリの仲間に属している模様(資料フィルムでカタツムリがイモムシを貪り喰うクローズアップは「うええ」な迫力。ある意味、本作最大の見せ場)。
「ラドン」のメガヌロン・パートを独立させたような、という例えを良く見かけますが、一件落着したと思ったところで、身近にあった卵が孵化して大騒ぎ、という展開が「宇宙からの贈り物」(「ウルトラQ」)っぽいな、と思いました。
カタツムリとナメクジってのも近しい素材ですし。
あと、子供は不可欠な小道具かもしれませんが、怪獣映画に出てくるガキは大抵余計な事しかしないので、見ていてストレスが溜まります。