本来なら「プロメテウス」の予習・復習とかいう切り口にするのが筋かもしれませんが、もうあっちこっちで読んだでしょ、そういうの。
「エイリアン[ディレクターズ・カット版Blu-ray]」(1979年/リドリー・スコット監督)
ちょっと年代の古いSFがBlu-rayになると、セットの安普請さ加減がはっきりくっきりして幻滅してしまうものですが、本作は違います。
おいおい、そこまで作りこんでいたのかよ、な美術班入魂の仕事の数々が手に取るように。
宇宙服ヘルメットに隙間無く掘り込まれた彫刻とか、どんだけ手間掛けてんだよ。
このグロ美しい装飾を拝むだけでも一見の価値有りなソフトですが、やはり最大の見せ場はリプリー(シガニー・ウィーバー)の半ケツ。
ディレクターズ・カット版は未公開シーンが追加されていますが、トータルでは劇場公開版より1分短いランニングになっています。
既存シーンをカットしたわけではなく、例えば3秒あったリアクションを2秒にすると言った細かい摘みを重ねて短くしたようです。
つまり、映像のテンポが良くなっている、はずなのですが、改めて見ると実にまったりとした(良く言えば丁寧な)撮り方をしているんですねえ。
チェスト・バスターが登場するのが約57分経過地点ですから、折り返し点まで来てようやくお話にエンジンがかかるという。
続編を怒涛のアクション映画にシフトさせたキャメロンの判断は実に正しかったと改めて思います。
後半も対エイリアン戦と言うよりは、自爆装置の起動、脱出用シャトルへのルート確保断念、自爆解除失敗、脱出リトライという時空間限定サスペンス。
そして、脱出に成功したかに見えた一瞬のやすらぎを演出する半ケツ。
特に半ケツである必然性も、宇宙服に足を入れるカットをあそこまで仰角で捉える必要性もなかったと思うので、まあ、監督の趣味だったのでしょう(シガニー推定29歳)。
以前テレビ放送された時は、メイン・コンピュータMotherを“おふくろさん”と吹き替えていて、そいつはちぃっと変じゃないか、と思ったものですが、本ソフト収録の吹き替えは普通に“マザー”になっていました。
よし、これで「プロメテウス」は万全だ。
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