『こういうのを“暇つぶし”って(言う)んだぜ!』
相手の喉を真一文字に撃ち抜くハンドガン連射。痺れます。
「独立愚連隊」(1959年/岡本喜八監督)
第二次世界大戦末期の北支戦線。ただひとつ、敵中深く侵攻している小哨隊がありました。
各隊のクズばかりを寄せ集めた独立第90小哨…人呼んで独立愚連隊。
もうこの設定だけで燃えてしまいますね。
命がいくつあっても足りない地獄の一丁目にやってきた従軍記者・荒木(佐藤允)。
彼の目的はここ90小哨で命を落とした見習士官・大久保の死の真相究明。表向きは情婦と心中したって事になっていますが…。
続編(と言っても話の繋がりは無し)「独立愚連隊、西へ」が突き抜けたアッパーな娯楽作なのに対し、本作は西部劇の衣を纏った戦場ミステリーという体をとっています。
毎朝新聞社記者を名乗る佐藤允の飄々ぶりが何とも粋。
リチャード・ウィドマークを土偶にしたようなギョロ眼顔が無国籍の誉れを上塗りしています。
彼の人柄(?)に惹かれて集まってくる怪しい面々。
愚連隊を預かる(そして何か知っている)石井軍曹(中谷一郎)、荒木の正体を知る慰安婦トミ(雪村いづみ)、馬賊を束ねる謎の男・ヤン(鶴田浩二)。
とは言え、監督の本音は「西部劇撮りてぇ!」なので、そこかしこにキレの良いアクションが散りばめられております。
特筆すべきは“爆煙が水平に広がる迫撃砲弾”(西部劇のダイナマイトですね)。
雨あられと降り注ぎ、横に広がる迫撃砲の洒落にならない大迫力。おまけに機銃掃射まで加わったガントレットの中を絶妙なラインで回避していく佐藤允。
そしてクライマックス。本部大隊の撤収した無人の将軍廟で行われる500対10の大殲滅戦。
アウトロー=正義、組織=腐敗、疑心暗鬼から理解、友情、共闘。嗚呼、やっぱり貴方は私の映画のマイスター。
愚連隊シリーズを観ると、どうしてももう一人のマイスター、カーペンター先生のエスケープ・シリーズを思い出してしまいます。
岡本喜八、カーペンター、深作欣二にロバート・アルドリッチ。
ぶっとい筆に男汁つけてでっかい紙にたった一字を一気呵成に書き上げる…そんな監督が私は好きだ。
※参考:「どこに行っても鼻つまみ、ウェイ! 独立愚連隊、西へ」
→2009年1月29日