デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ラブクラフト×大林宣彦。這いよれ!ニャル子さん(其の弐)

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「だって、ふざけた感じじゃないと言えないじゃないですか。好きだなんて。でも、これが私の嘘偽り無い本心ですから何度でも言います。私は真尋さんのことが、大好きです」

いやあ、こんなベタベタ直球ストレートな台詞にグッと来てしまうとは、我ながら驚き。

クトゥルーネタという蒔餌に引っかかりはしましたが、本作の本道はやはりラブ(クラフト)コメディです。

這いよれ!ニャル子さん(其の弐)

冒頭の台詞は第7話「碧いSAN瑚礁」のエンディング。

ここから呪われた恋愛シミュレーションに取り込まれる「ニャル子のドキドキハイスクール」というラブクラフト先生から幾星霜というかっ飛びエピを経て、ラブコメの王道“男女入れ替わり”に突入。

「僕があいつであいつが僕で」というサブタイからも分かる通り、大林宣彦尾道三部作第一弾「転校生」(原作「俺があいつであいつが俺で」)のパロディです。

余談ですが、名作の誉れ高い「転校生」、私は今ひとつノレませんで…。

何故かと言うと、“小林聡美になってしまった尾美としのり”と“尾美としのりになってしまった小林聡美”がどうしても“芸達者な小林聡美”と“オカマ演技をしている尾美としのり”にしか見えなくて、物語に入り込めなかったのです。

その点、アニメはキャラと声優のコンビネーションで自然に魅せてくれるので違和感がありません。

で、本エピの凄い所は、「転校生」に「イス(劇中ではイース)の偉大な種族」を絡めた点。

時間の秘密をつきとめた唯一の存在であるが故に「偉大なる種族」と呼ばれ、他の生物と精神を交換しながら永劫を生きながらえる種族イス。

地球のエンタメ知識の全てを吸収するために全人類との精神交換を目論むイスの“強硬派”。

強硬派を阻止するため地球に来た穏健派のイス香は、まずは暮井珠緒と精神交換。更にニャル子と精神交換しようとしますが、誤まってニャル子と真尋を入れ替えてしまうというドジっ娘ぶりを発揮。

窓ガラスに映るイス香(珠緒)の姿が、ちゃんと4億8千万年前にイスが肉体に選んだ円錐状生物になっている辺り、作り手の並々ならぬこだわりを感じます。

めでたく(?)心と体が入れ替わったニャル子と真尋。

ここで「転校生」では絶対に描けない(触れる事すら出来ない)素敵な描写が…。

さて、もし、あなたが突然異性になったら何をします?(まあ、若い時限定って事で)

文字通り“手の届く所に”異性の神秘があるわけですよねえ。ただ驚いているだけなんて事あるはずがありません。

「真っ尋さぁん、男の子っていいもんですねえ。確かに女の子には分からない感覚でしたよ」
「…お、お前何をした? トイレで何をしていた?!」
「真尋さん、男の子って本当にいいもんですねえ…」


(作品としての)ニャル子の“只者じゃない”加減が良く出ている素敵なエピソードだと思います。

小ネタですが、デパートの寝具売り場の案内板「THE 寝具」(写真下。ちゃんと後から光が射しこんでいるデザインになっています)はちょっとツボでした。

其の参では少し真面目にクトゥルーネタを取り上げてみようかなあ。