声優陣総入れ替えという大鉈振るうフルーツバスケットを敢行したために一部では“なかった事”にされておりますが、これを埋もれさせるのはあまりに勿体無い。
「ルパン三世/風魔一族の陰謀」
(1987年/大関雅幸演出)
問題の声優たちをおさらいしておきますと、
ルパン三世・・古川登志夫(うる星やつら/諸星あたる)
次元大介・・銀河万丈(装甲騎兵ボトムズ/ロッチナ)
石川五右ヱ門・・塩沢兼人(究極超人あ~る/R・田中一郎)
峰不二子・・小山茉美(Dr.スランプ/則巻アラレ)
銭形警部・・加藤精三(巨人の星/星一徹)
凄いですねえ(笑)。ちょっと想像がつかないと思いますが、これが思いのほか“いい感じ”。
銀河さんの次元なんか最初から違和感無く入ってきます。
舞台は岐阜(この世界を股に駆けない感が素晴らしい)。
飛騨の神社で何と五右ヱ門が結婚式。相手は代々からくり細工を生業としてきた墨縄家総帥の孫娘“紫”。
墨縄家家宝の壷が五右ヱ門に渡されようとした時、謎の覆面軍団が乱入して壷を奪取。列席のルパン、次元、不二子も巻き込んで大混戦。覆面軍団は奪取失敗と見るや紫を拉致して逃亡。
折りしも近くの寺には、ルパンの最期(自爆)を目の当たりにして「ルパンのいない世界に未練無し」とばかりに仏門に入った銭形(元)警部その人が。
監修に大塚康生が入っているので、この辺りの設定に旧ルパン最終回の韻を感じます。
謎の覆面軍団は400年に渡って墨縄家代々の財宝を狙っている風魔一族。壷には財宝隠し場所のヒントが記されていました。
比較的シンプルなストーリーですが、兎に角、作画が素晴らしい。
ルパン対岐阜県警パトカー軍団の大チェイスなど「カリオストロ」に拮抗、いや、凝ったシークエンスが長く続く分、超えているとさえ言える出来栄え。
時間が73分という小振りな枠に収まっているのが残念ですが、劇場版としては、1作目の「ルパン対複製人間」に次いで好きな作品です。
(栗貫には申し訳ないが、物真似ルパンは観る気がしない)