DVD18枚組。総Running Time:1,938分。
動く文献。歌う歴史資料集。KISSの全貌が今ここに。
「KISSOLOGY[地獄大全~究極!’77BUDO-KANステージボックス]」
1974年から2000年迄。現存するあらゆる映像を年代順にコンパイルしたUltimate Collection。
74年.まだやんちゃな小僧にしか見えないジーン・シモンズ。ビル・ワードを思わせる野人なプレイで(技術はともかく)やる気と元気は人一倍なピーター・クリス。
鳴かず飛ばずのバンドを一夜にしてスターダムに押し上げた伝説のデトロイトCOBOホールのKISS ALIVE(写真2枚目)。
突然の人気。金。酒とドラッグ。テレビのインタビュー収録で明らかに1発(いや2発3発)キメているエース・フレーリー。
恐らくご相伴に預かっているピーター・クリス。何とか話をまとめようとするポール・スタンレー。ハイテンションで笑いながら混ぜっ返すエース。ジーンだけが怒り狂った眼で空中を凝視している。
ほころび。亀裂。掛け違えたボタン。ピーターの脱退(1980年。半ば解雇)。
時代を追いかけた結果、風呂で屁をこいたようなヘッポコピーなパーティ・ミュージックに堕した眼を覆う80年代初頭(コンセプト・アルバム「エルダー」も大失敗)。
そしてエースの脱退(正式脱退は84年)。
ドラムとギターが何度となく代わり(二代目ドラムス、エリック・カーは心臓癌で他界)、メイクも落とし(写真3枚目)、それでも続ける90年代。
運命が動いたのは1995年8月8日。
MTV主催のUNPLUGGEDで遂に再会したオリジナル・メンバー。
当時のメンバーであるブルース・キューリックとエリック・シンガーを加えた6人編成のKISS(写真下)。
ツイン・ギターにツイン・ドラム。
エリック・シンガーがリード・ボーカルをとる「ナッシン・トゥ・ルーズ」のサビでピーターが「♪You Got Nothn’ To Lose!」とシャウトした時、不覚にもだばだばと泣いてしまいました。
何度も観ている映像なのに。テクニックなんか関係ありません。これこそが“本物”。
長時間、歴史を追って観て来たので、只事でない感情移入をしていたようです。
この再会を契機にリユニオンが現実化。まあ、結局色々あってピーターとエースは再び脱退してしまうのですが、それも人生って奴です。
最新作「MONSTER」は悪くはないけど良くも無い出来でした(前作「SONIC BOOM」の方が個人的には好き)。
KISSには多少音がスカスカしてもいいから、もっとリフ一辺倒のかっちょいいハード・ロックを演ってほしいなあ…って要するに70年代のあの音を出せって事なのですが、最早無い物ねだりなのかもしれません。
バンドにも楽曲にも旬というものがあります。
しかし、中坊心にガソリンかけて火をつけたあの時のかっちょ良さは紛れも無いホンモノ。どれだけの年月が流れようが、その価値と評価は微動だにしません。
“♪Get The Firehouse! 'Cause She Sets My Soul A Fire
Get The Firehouse And The Flames Keep Gettin' Higher”